タイトル |
暗渠内水位の維持による圃場の排水機能と保水機能の両立 |
担当機関 |
宮城古川農試 |
研究期間 |
2007~2007 |
研究担当者 |
冠秀昭
菅原強
石川毅
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発行年度 |
2008 |
要約 |
水田転換畑において、暗渠内水位を地表下30cmに維持することにより、連続干天期における作土層の過剰な乾燥を抑制できる。また、連続降雨期には、暗渠内水位を地表下30cmに維持した場合でも、排水対策を施した圃場に近い排水機能が発揮される。
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背景・ねらい |
水田転換畑では、排水改善技術の導入が必要とされているが、天候によっては圃場が過剰に乾燥する場合も見られ、圃場の排水機能と保水機能を両立することが困難である。そのため、暗渠内水位の調節による土壌水分制御が検討されている。そこで、暗渠内水位を調節した場合の圃場の保水機能および排水機能について明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 本手法は、図1に示すように、大豆作等の水田の畑利用時に、暗渠の排水口を従来の位置から高くし、暗渠内水位を地表下30cmに設定する。また、用水を暗渠内に供給し、暗渠内水位を地表下30cmに維持する。
- 暗渠内水位を地表下30cmに維持した圃場(調節圃場)での連続干天期における作土層の土壌水分張力は、排水対策を施した圃場(排水圃場)より低く推移し、作土層の過度の乾燥を抑制できる(図2左)。
- 連続降雨期における土壌水分状態について(図2右)、地表下10cmの土壌水分張力が0kPa以下の状態では、10cm以下で飽和状態となっていることを示しているが、排水対策が施されていない圃場(低排水圃場)の土壌水分張力は、多くの期間で0kPa以下となっている。調節圃場の土壌水分張力は、降雨終了後には0kPa以上の値を示しており、排水圃場の土壌水分張力に近い値を示している。よって、調節圃場では、排水圃場に近い排水機能が発揮されている。
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成果の活用面・留意点 |
- 暗渠排水機能の計画上の観点から,低排水圃場は計画暗渠排水量30mm/d(1.25mm/h)以上の排水機能が見られており(図3)、上記3より、調節圃場の排水機能は、低排水圃場以上となっていることから,調節圃場では計画暗渠排水量30mm/dを満たすと推察される。
- 乾燥条件下の大豆作においては、収量の増加が確認されている。
- 暗渠への用水供給は、暗渠上流端の立ち上がり管の利用や暗渠上流端を延長し、給水栓と接続することにより可能である。
- 本手法では、暗渠の排水口の高さを調節することが必要であり、そのような水閘等はいくつかの製品が市販されている。
- 本手法は、グライ土や灰色低地土などの暗渠の整備が必要とされる圃場で活用できる。
- 本手法を効果的に活用するには、作土層及び心土層の透水性を確保し、暗渠部への水移動が容易であることが必要であり、弾丸暗渠等の補助暗渠の利用が望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
水田
大豆
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