リンゴ青かび病菌(Penicillium expansum)が果実で産生する恐れのあるかび毒

タイトル リンゴ青かび病菌(Penicillium expansum)が果実で産生する恐れのあるかび毒
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2007
研究担当者 渡辺満
発行年度 2008
要約 リンゴ青かび病菌(Penicillium expansum)はリンゴ果実でパツリンに加え、シトリニン、エクスパンソリデスA/Bの産生頻度が高い。シトリニンはパツリンと比較してP. expansumの産生量は低い傾向にある。
キーワード リンゴ青かび病菌、Penicillium expansum、パツリン、シトリニン、エクスパンソリデスA/B
背景・ねらい リンゴ果実はPenicillium expansum による感染でパツリン(図1A)に汚染される可能性があることは知られており、規制値も設定されている。この他、P. expansum は培養液中でオクラトキシンA、ケトグロボシン等多くのかび毒を産生することは報告されているが、加工製品における汚染が問題となるリンゴ果実で高頻度に産生する恐れのあるかび毒は、パツリン以外明らかにされていない。
そこで本研究では、40菌株のP. expansum をリンゴ果実に接種し、パツリン及びシトリニンを定量する。さらに、重要性の高いことが指摘されているケトグロボシン等を含め18種類のかび毒を網羅的に解析し、リンゴ果実が汚染される可能性のあるかび毒を特定する。
成果の内容・特徴
  1. リンゴ(王林)果実に40 菌株のP. expansum 胞子をそれぞれ別個の果実表面に傷をつけて接種し、12日間25℃で遮光貯蔵する。その結果、パツリン(図1A)は40菌株中36菌株と高い頻度で産生が認められ、平均産生量は860 ± 510 μg/L(平均±標準偏差)である(表1)。
  2. リンゴ果実でパツリンとともに産生を確認しているシトリニン(図1B)も、40菌株中32菌株で産生が認められるが、平均産生量は14±21μg/L(平均±標準偏差)であり、パツリンと比較し産生量は少ない傾向にある(表1)。
  3. パツリン、シトリニンに加えP. expansum は、リンゴ果実でエクスパンソリデスA/B(図1C,D)を高頻度(40菌株中35菌)で産生する(表1) 。
  4. パツリン産生量とシトリニン産生量の間には、相関関係は認められない(r=0.059) 。
成果の活用面・留意点
  1. リンゴ果実を加工製品材料等として貯蔵する際の参考情報となる。
  2. 使用したP. expansum はいずれもリンゴ果実から分離している。
  3. パツリンはHPLCを使用したAOAC公認法(AOAC 2000.02)に準じ、ペクチナーゼ非処理で定量している(検出限界3 μg/L、定量限界10 μg/L)。シトリニンは酢酸エチル抽出物をHPLC 分析(蛍光検出)で定量している(検出限界0.2μg/L、定量限界0.6μg/L)。
  4. エクスパンソリデスの同定はLC-MS精密質量測定及びMS/MS 分析、アルキルフェノン(C8~C14)に対する相対的な溶出位置(アルキルフェノンインデックス)を求めることにより行っている。
  5. エクスパンソリデスA/B は標準物質が入手できないため、現時点で定量は困難。なお、LC-MSでカウントされるプロトン化分子(M+H)+付近のイオン量はシトリニンと同様に低い。
図表1 232814-1.gif
図表2 232814-2.gif
カテゴリ 加工 りんご

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