タイトル |
常時被覆による簡易な無加温出芽乳苗育苗 |
担当機関 |
宮城古川農試 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
遠藤弘樹
星信幸
辻本淳一
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発行年度 |
2008 |
要約 |
5月上旬以降に播種し無加温出芽で常時被覆すれば,10日前後で移植可能な苗(8~10cmの乳苗)を育苗できる。また,床土よりも覆土に肥料があることでマット強度は高まる。
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キーワード |
無加温育苗,乳苗,飼料用米,省力化
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背景・ねらい |
農業を取り巻く環境が厳しさを増す中で,米粉,飼料米などによる水田のフル活用対策への取り組みが求められており,水田営農におけるさらなる作業の効率化・省力化が必要となっている。水稲の育苗管理には依然多くの負担が生じているが,乳苗に取り組むことで管理作業の効率化や省力化,作期の拡大を図ることが可能である。そこで,育苗器を使用することなく,より簡易な育苗の方法について検討したものである。
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成果の内容・特徴 |
- 簡易な乳苗育苗の基本的な作業工程は,(1)催芽籾を育苗箱に播種,(2)ハウスに並べてしっかり被覆,(3)常時被覆したまま10 日前後の育苗で移植可能な苗長(8~10cm乳苗)が得られる。
- この方法により目標苗長(8~10cmの乳苗)を得るための育苗日数は,5月上旬播種で12日前後,5月下旬播種で10日前後である(表1)。
- 床土は無肥料で覆土に肥料がある場合,目標苗長の確保は若干遅れるが,マット強度を高められる(表1,2)。
- 播種量220g(乾籾換算)/箱,植付縦送り10~12mm,横送り26回(10.8mm)の設定で,植付本数5本程度,欠株率3.3 %程度となり,稚苗移植と比較して所用箱数の低減(20~40%)が可能である(図1)。
- 常時被覆しての育苗は,被覆資材により反射遮熱,水分蒸発透過性などが異なり,シート内の温度変化を左右し生育に影響を与えていることから,その特性を理解し使用する(表1,図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- この方法による4月中の播種では,常時被覆の育苗期間が長引き,カビの発生や生育ムラが助長されるため,加温出芽が必要となる。
- 常時被覆期間中におけるハウスの温度管理は一般的な育苗管理に準じる。また,ハウスに並べ被覆する際は,被覆内の乾燥を防ぐため置き床に灌水し,被覆の周囲をしっかりと押さえる。なお,観察で乾燥が見られる場合は灌水するなどの処置を行う。
- この方法による乳苗は慣行普通爪での移植が可能で,縦送り10mm,横送り26 回(10.8mm)の場合,10a当たり必要箱数は70株(坪)植で18 箱程度,60株(坪)植で13箱程度である。なお,苗を田植機に載せる際には,苗取り板が必要である。
- この方法による乳苗は,移植時期が同じ稚苗と比べ出穂は2~3日程度の遅れとなるが,収量は同程度である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
温度管理
乾燥
省力化
飼料用米
水田
播種
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