タイトル |
飼料用稲「べこごのみ」の湛水直播栽培によるWCS全刈り乾物収量10t穫り体系 |
担当機関 |
秋田農技セ農試 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
佐藤雄幸
佐野広伸
若松一幸
金和裕
進藤勇人
鵜沼秀樹
眞崎聡
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発行年度 |
2008 |
要約 |
寒冷地北部の日本海側に適した飼料用稲新品種「べこごのみ」を用いると、大区画圃場におけるWCS全刈り乾物収量は、湛水直播栽培技術による9月上旬から中旬の収穫で10t/haの生産を安定して得られる。
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背景・ねらい |
寒冷地北部の日本海側における粗飼料生産では、粗飼料自給率と転作水田の有効利用の観点から、現地の堆厩肥等を利用した省力低コスト多収生産技術体系を確立して、粗飼料として有効利用を図ることが重要である。ここでは粗飼料生産体制構築のため、食用基幹品種「あきたこまち」と収穫時期が競合しない早生・高直播適性・飼料用稲品種「べこごのみ」を用いた湛水直播栽培におけるWCS全刈り乾物収量10t/ha穫りを目指した省力低コスト多収生産技術体系について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 「べこごのみ」は直播適性が高く、湛水条件における出芽は「べこあおば」「ふくひびき」「あきたこまち」に比べ早く、出芽率が高い(図1)、また直播栽培における地際からの刈り高さにかかわらず、「べこあおば」「ふくひびき」に比べ黄熟期の乾物収量が高い(図2)。
- 湛水直播栽培では、催芽籾に過酸化カルシウム16粉粒剤を等倍量粉衣した種子を用いて、播種量は4kg/10a に設定して、代かきから3日以内に播種する。播種後は落水出芽法による管理を行い、入水時期は鳥害の有無や土壌状態により決定する。雑草管理方法と施肥法は営農条件に合わせて組み立てする(表1)。
- 全刈り乾物収量は、2006年は全層施肥+追肥、側条施肥で10.2~10.9t/ha、2007年は全層施肥+追肥、側条施肥で9.9~12.2t/ha、2008年は全層施肥+流し込み追肥、側条施肥+流し込み追肥で10.5~10.7t/haである。同一地域内では、窒素施肥量の多い生産体系が多収傾向にあるが、施肥法による大きな差はみられない。省力化には、肥効調節型肥料を利用した全量側条施肥体系や速効性肥料の基肥+流し込み追肥体系が活用できる(表1)。
- 「べこごのみ」の出穂期は8月3日~11日、収穫日は9月5日~14日であることから、湛水直播栽培においても主食用品種より早い9月上旬から中旬の収穫で、全刈り乾物収量10t/ha穫りができる(表1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 飼料用稲品種「べこごのみ」の湛水直播栽培技術に活用できる。
- 湛水直播栽培では、代かき後3日以内に播種する。
- 農薬は、使用基準を遵守しつつ「稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル」に記載された薬剤を使用する。
- 各年次とも前作は飼料稲である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
雑草
直播栽培
省力化
飼料用作物
新品種
水田
施肥
鳥害
低コスト
農薬
播種
品種
薬剤
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