タイトル | 牧ノ原台地周辺棚田における強酸性茶園流出水の中和・浄化効果 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2000~2005 |
研究担当者 |
松尾喜義 野中邦彦 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 牧ノ原台地周辺の谷間棚田は、強酸性茶園流出水を中和する効果が大きく、流出水中に含まれるアルミニウムを除去する効果も高い。この効果は小規模な漏水過多の棚田でも期待できる。 |
キーワード | 棚田、アルミニウム、中和、茶園、水質浄化 |
背景・ねらい | 水田がかんがい水に含まれる懸濁物や硝酸性窒素を除去することは広く知られている。そこで牧ノ原台地の集団茶園地帯から流出するアルミニウムを含んだ強酸性茶園流出水に対する台地周辺谷間の小規模棚田における水質浄化効果について評価する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 牧ノ原台地中部の台地谷間の漏水過多(日減水深5cm以上)の棚田休耕田(不耕起で雑草管理のみの状態)に、強酸性茶園流出水をかけ流し状態で浸透させると、流入水のpHが中和されるとともに硝酸性窒素濃度が半減する(図1、図2)。 2. 主として豪雨のあとにアルミニウムを高濃度で含む茶園流出水が流入すると、田面停滞水中でも濃度がかなり減少し、棚田浸透流出水にはほとんど含まれなくなる(図3)。 3. 棚田における強酸性茶園流出水に対する中和とアルミニウムの除去効果は、イネが作付けされている小規模な棚田が分布する複数の地点でも確認している(データ略)。 4. 以上から牧ノ原台地周辺の谷間で現在耕作されている棚田では、強酸性茶園流出水を中和・浄化して地域の水環境を保全する効果が大きい。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 棚田の中和・浄化効果は、用水が流入しない非作付け期間は期待できない。 2. 水管理によって浄化効果は大きく左右される。処理水量を増やすためには、用水の常時かけ流し管理が必要である。掲載したデータは常時かけ流し管理条件で測定したものである。 3. 現在休耕放任状態の棚田も水質保全の観点からは再利用を推進する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 病害虫 雑草 水田 茶 水管理 |