タイトル | 引抜きユニット跳ね上げ機能等による金時ニンジン引抜き機の取扱い性向上 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
角川修 西沢準一((株)ニシザワ) 大黒正道 猪之奥康治 田中宏明 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 引抜きユニット跳ね上げ機能を付加した金時ニンジン引抜き機は、高畝栽培されたニンジンをまたいで走行できる。このため、1日の収穫面積が少ない場合でも、畝の途中からの収穫作業が可能である。また、作業者の肩や腰の負担軽減に有効である。 |
キーワード | 金時ニンジン引抜き機、軽作業化、旋回、軽トラック積み込み |
背景・ねらい | 地域特産物「金時ニンジン」は高さ40cmの高畝栽培が主流であるため、収穫は手作業を余儀なくされている。このため、平成13年度には収穫作業の中で最も労働負担の大きい引抜き作業の軽作業化に的を絞った「金時ニンジン引抜き機」のプロトタイプを開発し、ニンジン抜き取り抵抗を低減できることを実証したが、現地でのモニタリング利用を通じて、実用性の向上を要望されている。そこで、機械の操作性や可搬性、小規模農家の収穫順序への対応など、現地への円滑な導入を図るための機能を付加し、引抜き機の実用化を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 本機は、高畝栽培された金時ニンジンを10cm程度引き上げる「金時ニンジン引抜き機」を改良し、小規模農家の作業順序への適応性、ハンドリング性、可搬性を向上させた実用機仕様である(図1)。 2. 1日当たりの収穫量が少なく、畝の途中までしか収穫しない場合でも、引抜きユニットの跳ね上げ機能によりニンジンをまたいで走行でき、圃場内のどこからでも引抜きを開始できる。このため、畝の途中に旋回スペースを設ける必要がなく、慣行の収穫順序を保ったまま本機を利用できる(図2)。 3. 140kgの機体質量は、ユニット跳ね上げ時に前輪1176N(120kgf)、後輪196N(20kgf)の荷重分担となるため、旋回時には機体後部を持ち上げ、容易に取り回しが行える(図2)。 4. 本機は駆動用モータにより0.2m/sで自走し、1回の充電で約4a~8a(家族労働主体の農家では2~4日間分)の作業が可能であり、機械の操作時間を含めても抜き取りに要する作業時間は慣行と同程度である(表1)。 5. 駆動用モータは、ロープを巻き取ることが可能で、登坂用ウインチとしても機能する。これにより軽トラックへの搭載が安全・確実に行え、複数の農家で利用する際も圃場間移動が容易である(図3)。 6. 本機の適用によりニンジン抜き取り抵抗が58.8N(6kgf)~117.6N(12kgf)から9.8N(1kgf)~19.6N(2kgf)に低減する。これにより、心拍数は慣行作業と同程度であるが、僧帽筋への負担や椎間板圧迫力が減少し、肩や腰の負担軽減に有効である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本機は畝幅90cm、畝高さ40cm、1条または条間10cmの2条植えに適合する。 2. 圃場が乾燥し、抜き取り抵抗が117.6N(12kgf)を超える場合は損傷率が増加するので、潅水を行うなどして、圃場条件を整える必要がある。 3. 本仕様の引抜き機は、今年度市販予定である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 にんじん モニタリング |