コレマンアブラバチを用いたバンカー法による施設ナスのアブラムシ防除

タイトル コレマンアブラバチを用いたバンカー法による施設ナスのアブラムシ防除
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2002~2003
研究担当者 安部順一朗
高井幹夫
高橋尚之(高知県農技セ)
長坂幸吉
田中和夫
尾島一史(近中四農研)
発行年度 2003
要約 促成栽培ナスでの春期アブラムシ対策として、11月にムギ類を播種し、2週間後にムギクビレアブラムシを接種し、さらに2週間後にコレマンアブラバチを放飼するバンカー法により、モモアカアブラムシとワタアブラムシを長期間防除できる。
キーワード コレマンアブラバチ、バンカー法、ナス、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ
背景・ねらい
 施設野菜類において害虫防除対策に天敵類を利用した栽培が増加しつつある。これらの栽培において重要害虫であるアブラムシ類に対しては主にコレマンアブラバチが利用されているが、害虫を発見してから天敵を放飼する通常の接種的放飼法では、放飼タイミングが難しく、防除効果が不安定な場合が多い。そこで、アブラムシ類の発生前から十分量の天敵を準備するバンカー法(平成13年度主要成果)について、促成栽培ナス等における春期アブラムシ対策として、生産者が実施可能な手順を確立する。
成果の内容・特徴 1.
促成栽培ナス等で問題になるアブラムシ類(モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ)に対して、天敵コレマンアブラバチを、ムギ類(コムギ、オオムギ、エンバクなど)とムギクビレアブラムシ(不完全生活環型)を利用したバンカー法により放飼する。
2.
施設の側窓を閉め始める11月に、10aあたり4~6カ所(天窓下等に分散して配置)にムギ類の種子(1カ所あたり約5g、1m×15cm程度)を蒔く(図1)。
3.
約2週間後、ムギ類が草丈15cm程度に生育したら、ムギクビレアブラムシを1カ所あたり約1000頭接種する(図1)。
4.
さらに約2週間後、ムギクビレアブラムシがムギ類1茎あたり10頭以上に増加したら、コレマンアブラバチ製剤を10aあたり1ボトル(約500頭)、ムギ類の播種箇所に分けて放飼する(図1)。
5.
その後、ムギクビレアブラムシが減少するので、1~2ヶ月ごとに追加する。また、ムギ類を2~3ヶ月ごとに播種し、バンカー植物を更新していく(図1)。
6.
高知県安芸市の促成栽培ナス施設等でバンカー法導入試験を実施し、2001年度作で改善が必要と考えられた導入スケジュール、バンカー植物の箇所数、更新方法、ムギクビレアブラムシの追加等について、2002年度作で上記2~5の手順にした結果、70%を超える施設で収穫盛期(2~6月)に発生するアブラムシ類を薬剤無散布あるいは部分散布(100株/10a程度以内)のみで、問題とならない密度に抑えられた(図2)。
成果の活用面・留意点 1.
ナスの他に、ピーマン、シシトウなどの促成栽培で有効である。
2.
防虫ネット等の侵入防止策との併用が効果的である。
3.
コレマンアブラバチに寄生する二次寄生蜂が多くなると、バンカー法が機能しなくなる。また、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、チューリップヒゲナガアブラムシにはコレマンアブラバチは寄生しない。アブラムシ類のコロニーが大きくなり、有翅虫が見られるようなら、ピメトロジン剤等天敵に影響の少ない殺虫剤の散布を行う。
4.
ムギ類(マルチ用、緑肥用等)、ムギクビレアブラムシ、天敵は市販品を利用できる。
図表1 232994-1.gif
図表2 232994-2.gif
カテゴリ 病害虫 大麦 害虫 ししとう チューリップ なす 播種 ばれいしょ ピーマン 防除 薬剤 わた

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