タイトル | 中山間地圃場周辺のリザーバー植物上におけるコナガの土着天敵の活動時期 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
安部順一朗 長坂幸吉 萩森 学 尾島一史 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 中山間地におけるコナガの主要な土着天敵は、コナガサムライコマユバチであり、圃場周辺に自生するイヌガラシなどのリザーバー植物上で、4月から11月まで活動する。 |
キーワード | 土着寄生蜂、リザーバー植物、コナガ、コナガサムライコマユバチ、コナガヒメコバチ |
背景・ねらい | 環境にやさしい害虫管理手段として、土着天敵の保護利用技術や、圃場への天敵誘引技術が注目されている。これらの技術を確立するための前提条件として、圃場の周辺環境に土着天敵が生息している必要があり、その供給源となるリザーバー植物の存在が重要となる。アブラナ科野菜類の難防除害虫コナガに対する有望な土着寄生蜂の種類と活動時期を、圃場の周辺環境に自生するリザーバー植物上での発生消長から明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 中山間地の野外環境におけるコナガの主要な捕食寄生者は、コナガサムライコマユバチ Cotesia plutellae (Kurdjumov) (以下、コナガコマユバチ)とコナガヒメコバチOomyzus sokolowskii (Kurdjumov)であり、コナガコマユバチが優占種である(表1)。 2. アブラナ科葉菜類を生産している雨よけハウスでは、上記2種は、コナガの個体数が増加した後に発生し、コナガの密度を抑制するには至っていない(図1)。 3. コナガコマユバチは、圃場周辺のイヌガラシ上では5月から11月まで(図2)、雑草化したナタネ上では4月から9月まで活動する(図3)。 4. コナガヒメコバチは、イヌガラシ上では5月から6月まで(図2)、雑草化したナタネ上では8月から9月まで活動する(図3)。 5. コナガコマユバチは、ハウス内でコナガが問題となる春から秋にかけてイヌガラシやナタネ等のリザーバー植物上で継続的に発生しており、今後、土着天敵の保護利用技術や誘引技術を開発する上で、有望な対象であると言える。 |
成果の活用面・留意点 | 1. イヌガラシ、ナタネともに日本全土に分布する。 2. コナガコマユバチ、コナガヒメコバチともに日本全土に分布する。 3. コナガコマユバチを誘引する天敵誘引剤を用いたコナガ管理技術が開発されている。 4. 天敵誘引技術とリザーバー植物の管理を組み合わせた天敵保護利用技術の基礎資料となる。 5. 徘徊性害虫の抑制のため、ハウスの周囲1.5~2mに防草シートを敷設しても、捕食寄生者の発生、ハウスの侵入には影響しない。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 あぶらな 害虫 管理技術 雑草 中山間地域 土着天敵 なたね 防除 |