電気インピーダンスと静電容量を用いた茶葉含水率の非破壊計測法

タイトル 電気インピーダンスと静電容量を用いた茶葉含水率の非破壊計測法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 山口優一
水上裕造
澤井祐典
発行年度 2004
要約 高含水域から低含水域において、3kHzの電気インピーダンスと静電容量を計測することで、茶葉含水率を非破壊で高精度に推定できる方法を開発した。製茶プロセスでは各工程における茶葉の取り出し時期の判断基準として活用できる。
キーワード 茶葉含水率、電気インピーダンス、静電容量、非破壊計測
背景・ねらい
製茶工程では高含水域から低含水域において、迅速かつ高精度な水分計測が必要とされている。多種多様な水分計が市販されているが、その大部分を占める電気抵抗式や静電容量式、ならびに近赤外式の水分計は約30%wb(%wb:湿潤基準の含水率)以上の高含水域において精度が悪い。マイクロ波水分計は高含水率の計測が可能だが、材料の比重や厚みで計測値を補正するため、装置が複雑になる。そこで、高含水域から低含水域まで迅速に高精度で計測できる新たな含水率非破壊計測方法を開発する。
成果の内容・特徴 1.
茶葉の電気的特性は交流4端子法により取得する。電極は丸棒の形状であり、材質はステンレスである。電極部が露出しないよう茶葉をのせ、アルミが取り付けたガラスを被せ、茶温20℃~25℃でインピーダンスメータにより電気インピーダンスと静電容量を計測する。なお、アルミとインピーダンスメータのガード端子を接続し、ノイズの影響を防ぐ。計測データはパーソナルコンピューターに取り込む(図1)。
2.
体積で補正した電気インピーダンスと静電容量は含水率とそれぞれ相関があるが、実用的な精度は得られない(図は省略)。そこで、それぞれの式から含水率を表す新しい式を導く(式1)。この式によると、電気インピーダンスと静電容量を計測することで茶葉の含水率を推定でき、体積補正を必要としない。
3.
製茶の各工程において茶葉を取り出し、0.1kHzから1000kHzまでの周波数を掃引したところ、式1より推定された茶葉含水率は乾燥法により測定された含水率と3kHz付近において高い相関がある(図2)。3kHzにおける電気インピーダンスは1.00kΩ~1.20MΩ、静電容量は1.22pF~0.10μFであり、式1を前提に定数A及びBを最小二乗法により求めると、Aは-3.65、Bは166である。
4.
本手法は、80.00%wbから3.00%wbの高含水域から低含水域において、高精度で茶葉の含水率を推定できる(図3)。3kHzの電気インピーダンスと静電容量を計測する時間は1秒以内である。
成果の活用面・留意点 1.
定数A及びBは電極形状や材質によって異なる。含水率の推定値は接触圧力の影響をほとんど受けないが、接触面積の影響を受ける。本手法では、電極部が露出しないよう茶葉を接触させれば高い精度が得られる。
2.
本手法は茶葉含水率を迅速に高精度で計測できるため、製茶工程では茶葉の取り出し時期の判断基準として活用できる。
3.
一番茶期から二番茶期の「やぶきた」、「めいりょく」、「ふうしゅん」、「さえみどり」及び「おくゆたか」を用いたが、他の品種でも適用できる。
図表1 233055-1.gif
図表2 233055-2.gif
図表3 233055-3.gif
図表4 233055-4.gif
カテゴリ 乾燥 品種

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