果肉が硬く、食感の優れる「きゅうり中間母本農4号」

タイトル 果肉が硬く、食感の優れる「きゅうり中間母本農4号」
担当機関 ウリ科育種研究室
研究期間 1998~2005
研究担当者 五十嵐勇
坂田好輝
大島芳文((株)ミツカン)
発行年度 2005
要約  「きゅうり中間母本農4号」は「久輝」などの市販品種に比べ、果実の硬度が高く、食感が優れる。本系統はキュウリの果実硬度向上のための育種素材として利用できる。
キーワード キュウリ、高硬度性、食感、品質育種
背景・ねらい  食感はキュウリのおいしさの重要な要素である。しかし、果実の外観品質を良くするために普及したブルームレス台木の利用により、果皮が硬くなる一方、果肉の硬度が低下し、キュウリの食感は悪化したといわれている。そこで、果実に苦みはあるものの、果実が硬い「新昌白皮」を育種素材として、ブルームレス台木を利用しても食感の優れるきゅうり中間母本を育成する。
成果の内容・特徴 1.
「きゅうり中間母本農4号」は、中国から導入した高硬度性キュウリ「新昌白皮」にわが国の市販品種「シャープ1」を交雑、その後、「夏節成」、「アンコール10」を交雑し、果肉が硬く、市販品種並みの果実形質を有するキュウリを目標に選抜を繰り返して育成した固定系統である(図1、図2)。
2.
「きゅうり中間母本農4号」は、市販品種の「久輝」より果肉硬度が高く、また、果肉比が大きく胎座に比べて硬い果肉の割合が高いことから、果実硬度が高くて食感に優れる。収量は「久輝」とほぼ同等である(表1)。
3.
「きゅうり中間母本農4号」の高硬度性は複数の遺伝子に支配されており、不完全優性に遺伝すると推定される(表2)。
成果の活用面・留意点 1.
「きゅうり中間母本農4号」は市販品種より果肉が硬くて厚いことから、果実硬度向上のための母本として利用できる。
2.
「きゅうり中間母本農4号」は主枝に雌花が着生せず、側枝の節間が長いほか、食味面でも甘みがやや乏しく、弱い渋みも生じるなどの問題があり、その改良が必要である。
3.
きゅうり中間母本農4号」はうどんこ病・べと病に罹病性である。
4.
具体的データとして示した特性値は自根栽培で得られたものであるが、ブルームレス台木に接ぎ木しても、「キュウリ安濃3号」は対照の「久輝」に比べ果実は硬く、自根栽培のデータと同様な傾向を示す。
図表1 233081-1.gif
図表2 233081-2.jpg
図表3 233081-3.gif
図表4 233081-4.gif
カテゴリ 育種 うどんこ病 きゅうり 台木 接ぎ木 品種 良食味

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