湿害によるトマト根の壊死の可視化

タイトル 湿害によるトマト根の壊死の可視化
担当機関 栽培システム研究室
研究期間 2004~2005
研究担当者 鈴木克己
黒崎秀仁
河崎靖
中野有加
高市益行
免責事項等)独立行政法人 農業
食品産業技術総合研究機構〒305-8517茨城県つくば市観音台3-1-1お問い合わせはwww@naro.affrc.go.jpTel/029-838-8988 FAX/029-838-8982(総合情報管理部広報課)  
発行年度 2005
要約  湛水処理するとトマトの根は先端部分より基部にかけて徐々に壊死する。エバンスブルー溶液により壊死した部分は青く染色され、生きている白い部分と区別できる。画像ソフトウェアにより画像処理することで壊死した部分が数値化できる。
キーワード エバンスブルー、画像処理、湿害、トマト、根
背景・ねらい  転換畑水田での野菜栽培や夏季高温下での養液栽培などでは、根の湿害が大きな問題となっている。しかし、湿害の程度を定量化することは難しく有効な手法がない。そこで、トマトを用い根の壊死を組織化学的に可視化することで、障害程度の評価に資する。
成果の内容・特徴 1.
湛水処理した障害発生初期の根を肉眼で判別することは不可能である(図1a)。生きている細胞を染めるFluorescein Diacetate溶液(FDA)、死んだ細胞を染めるPropidium iodide溶液(PI)で染色し蛍光顕微鏡で観察することで判別が可能であるが(図1b、c)、エバンスブルー溶液による染色(0.1%水溶液に10分程度浸染し、その後流水で洗浄する)がより簡易に根の壊死を可視化でき、肉眼や実体顕微鏡で判断できる(図1d)。
2.
エアレーションした根はエバンスブルーで染まらないが(図2a)、湛水処理すると根の先端部分が染色し(図2b)、時間の経過に伴い染色部分は根の基部へと拡大する。(図2c)。
3.
壊死した部分の全体の根量に占める割合は画像解析により数値化できる。イメージスキャナの上においたアクリルバットに水を入れて染色した根を広げ、背景を赤色としてスキャンしたデジタル画像をパソコンに取り込む。その後、画像処理ソフトウェアで領域を識別し、白色部と染色部の面積比率を求める(図3、表1)。
成果の活用面・留意点 1.
トマト以外の作物でも根の壊死を判断し、湿害程度を評価する場合に利用できる。
2.
画像処理ソフトウェアはRGB三原色の輝度にしきい値を設けて背景、白色部、染色部を識別し画素数をカウントするものが利用できる。
3.
エバンスブルーは細胞膜の選択透過性が失われると細胞内へ流入する染色剤であり、細胞の生死判別に用いられる試薬である。
4.
湿害以外の要因(乾燥・塩害等)で根が壊死する場合でも本手法により根の生死は可視化できる。
図表1 233089-1.jpg
図表2 233089-2.jpg
図表3 233089-3.jpg
図表4 233089-4.gif
カテゴリ 画像処理 乾燥 湿害 水田 トマト 野菜栽培 養液栽培

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