ペクチン/ガレート型カテキン複合体の形成による渋味抑制効果

タイトル ペクチン/ガレート型カテキン複合体の形成による渋味抑制効果
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2004~2005
研究担当者 氏原ともみ
木幡勝則
林 宣之
発行年度 2005
要約  ガレート型カテキンの渋味は、ペクチンとの複合体形成により抑制される。一方で、非ガレート型カテキンは、ペクチンとの複合体形成が困難であるため、その渋味はほとんど抑制されない。
キーワード ガレート型カテキン、ペクチン、複合体、渋味抑制、味覚センサー、1H-NMR
背景・ねらい  柿ポリフェノールの渋味がペクチンとの複合体形成によって抑制されることが知られている。また、同様の渋味抑制効果は緑茶のポリフェノール(カテキン類)においても確認されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。そこで本研究では、味覚センサーと1H-NMRを使用して、カテキン類の構造と渋味抑制効果の関係を解明する。
成果の内容・特徴 1.
緑茶の主要4 カテキン(エピガロカテキンガレート=EGCg、エピカテキンガレート=ECg、エピガロカテキン=EGC、エピカテキン=EC)の各水溶液にペクチンを添加すると、味覚センサー(INSENT社製、SA402Bモデル)の出力はガレート型カテキン(EGCgとECg)の渋味が抑制されることを示す(図1)。
2.
EGCg、ECg、EGC、ECの各水溶液にペクチンを添加した場合、ガレート型カテキンの1H-NMRスペクトルにおける化学シフトの変化量は、非ガレート型カテキン(EGCとEC)のものよりも大きい(図2)。この結果は、ガレート型カテキンがペクチンと複合体を形成することを示す。
3.
ペクチンの水溶液にEGCg、ECg、EGC、ECを添加すると、ガレート型カテキンを添加した場合のペクチンの1H-NMRスペクトルにおける化学シフトの変化量は、非ガレート型カテキンを添加した場合に比べて大きい(図3の矢印部分)。この結果は、複合体の形成に関して上記2の内容を裏付ける。
4.
ペクチンはガレート型カテキンと複合体を形成することにより渋味を抑制する。一方で、非ガレート型カテキンはペクチンとの複合体形成が困難であるため、その渋味はほとんど抑制されない。
成果の活用面・留意点 1.
味覚センサー実験に使用したカテキン類とペクチンの濃度は、それぞれ0.218 mmol/L、0.1 mg/mLである。
2.
NMR実験に使用したカテキン類とペクチンの濃度は、それぞれ4.96 mmol/L、2.27 mg/mLである。
3.
使用したペクチンは、市販のカンキツ由来のものである。
図表1 233097-1.jpg
図表2 233097-2.gif
図表3 233097-3.jpg
カテゴリ その他のかんきつ

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