トマト果皮色変異系統の果実において特異的に発現抑制される遺伝子

タイトル トマト果皮色変異系統の果実において特異的に発現抑制される遺伝子
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2005~2007
研究担当者 永田雅靖
今西俊介
平賀智子
野口有里紗
発行年度 2007
要約  トマトの約41,000の遺伝子のうち、フラボノイド合成系の多重遺伝子族に対応するクローンおよびMYBタイプ転写因子に相同性を示すクローンの一部については、果皮色変異系統pinkにおいて特異的に発現が抑えられている。
キーワード トマト、遺伝子発現、DNAマイクロアレイ、誘発突然変異系統、果皮色
背景・ねらい  果実形質発現の生理機構を分子レベルで明らかにし、そのキーとなる調節因子の制御方法を見いだすことは、高機能性および多様性というニーズに対応したトマト果実の高品質生産・流通利用技術の開発につながるものと期待されている。流通しているトマトはピンク系と赤系に分類され、外果皮に蓄積する色素の差によるものであることが知られているが、その分子機構は明らかになっていない。そこで、トマトの想定遺伝子のほぼ全体を搭載したDNAマイクロアレイ(トマト41kアレイ)を開発し、ガンマ線照射によって得られた桃色の果実色を示す変異系統を用いて、遺伝子発現の面から明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. トマト41kアレイは、TIGR(DFCI)がリリースした重複の無いトマト全想定遺伝子の99.7%にあたる41,313クローンを搭載する。
  2. 果皮色変異系統(pink)の各成熟ステージにおいて特異的に発現レベルが非常に低い11クローンのうち、1クローンはフラボノイド合成に関わるCHSに対応する(図1)。
  3. フラボノイド合成系のPAL, 4CL, CHS, CHI, F3H, FLSの多重遺伝子族について、一部のクローンはpinkにおいて特異的に発現が抑制されている。CHSについては、多重遺伝子族の7クローンのうち、4クローンがpinkにおいて発現レベルが低い(図2)。
  4. トマト41kアレイに搭載されたMYBタイプ転写因子に相同性を示す78のクローンのうち、2クローンはpinkの全ての成熟ステージにおいて野生型系統より発現レベルが低い(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 未同定のpink変異の原因遺伝子は、フラボノイド合成系の多重遺伝子族における特定の遺伝子を、MYBタイプ転写因子を介して制御する因子であると考えられる。
  2. アントシアニンなどのフラボノイド合成系については、MYBタイプ転写因子による制御が報告されている。フラボノイド合成系の中でDFRに対応するクローンについては、pinkにおいて発現レベルが特異的に低いクローンは検出されない。これはトマトにおける既知のフラボノイド合成系制御メカニズムと異なる。
  3. pinkで同定されたMYBタイプ遺伝子は、機能性成分として注目されるフラボノイド含量を制御したトマトの育種、栽培や利用技術開発に指標として応用できる。
図表1 233131-1.gif
図表2 233131-2.gif
図表3 233131-3.gif
カテゴリ 育種 機能性 機能性成分 トマト

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