タイトル |
新規需要米向け水稲品種の4-HPPD阻害型除草剤に対する感受性 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2009 |
研究担当者 |
渡邊寛明
小荒井 晃
橘 雅明
川名義明
赤坂舞子
加藤 浩
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発行年度 |
2009 |
要約 |
新規需要米向け水稲品種「ハバタキ」「タカナリ」「モミロマン」「ミズホチカラ」「ルリアオバ」「おどろきもち」「兵庫牛若丸」はベンゾビシクロン、メソトリオンおよびテフリルトリオンに対する感受性が高いので、それらを含む除草剤は使用しない。
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キーワード |
4-HPPD阻害型除草剤、新規需要米、多収品種、ベンゾビシクロン、メソトリオン、テフリルトリオン
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背景・ねらい |
我が国の水田では、食用米の生産調整のために大豆等の転換畑作とともに、飼料用や業務加工用を目的とした水稲栽培が推進され、それら新規需要米向けの多収水稲品種の育成と普及が進んでいる。しかし、多収品種を栽培する一部の現地水田において除草剤に因るとみられる甚大な薬害の事例が報告された。除草剤の開発段階においてこれら品種・系統の除草剤感受性は十分に検討されていないことから、農研機構が開発した新規需要米向け多収品種を中心に、広く普及している4-HPPD阻害型除草剤感受性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 「ハバタキ」「タカナリ」「モミロマン」「ミズホチカラ」「ルリアオバ」「おどろきもち」「兵庫牛若丸」の7品種は、4-HPPD阻害型除草剤成分のなかでも活性時の化学構造がトリケトン系とされるベンゾビシクロン、メソトリオンおよびテフリルトリオンに高い感受性を示し(表1)、通常の除草剤使用で稲株全体が白化症状を呈して枯死に至る場合がある(図1)。
- 4-HPPD阻害型除草剤でもその化学構造がピラゾール系であるピラゾレートに対してはいずれの品種も低感受性であり、品種・系統間で感受性の違いはない(表1)。
- 「きたあおば」「アキヒカリ」「あきたこまち」「ふくひびき」「べこあおば」「べこごのみ」「夢あおば」「奥羽飼394号」「奥羽飼403号」「コシヒカリ」「北陸193号」「リーフスター」「たちすがた」「クサノホシ」「ホシアオバ」「ニシアオバ」「タチアオバ」「まきみずほ」「モグモグあおば」「はまさり」「ミナミユタカ」の21品種・系統には、4-HPPD阻害型除草剤に対する高い感受性は認められない(表1)。
- 「ハバタキ」「タカナリ」「モミロマン」「ミズホチカラ」「ルリアオバ」「おどろきもち」「兵庫牛若丸」の栽培においては、ベンゾビシクロン、メソトリオンおよびテフリルトリオンを含む除草剤を使用してはならない。
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成果の活用面・留意点 |
- 新規需要米向け水稲品種の種子販売者およびその栽培指導員(農業普及指導員、JA職員等)が栽培管理指導における除草剤選択の際に利用する。
- 除草剤に含まれる有効成分は、販売会社の除草剤リストや容器に記載されている。
- ベンゾビシクロンはSU剤抵抗性雑草対策成分として多くの水稲除草剤に含まれ、広く普及している。メソトリオンとテフリルトリオンは平成22年に上市される。
- 「稲発酵粗飼料生産・給与技術マニュアル(平成21年3月)」には、ベンゾビシクロン、メソトリオンおよびテフリルトリオンを含む除草剤は掲載されていない。
- 除草剤による薬害程度は、本情報で示される品種間差異のほかにも、除草剤散布時期の温度や漏水程度、土壌条件および植付深等の栽培・環境条件により大きく影響される。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
加工
栽培技術
雑草
除草剤
飼料用作物
水田
水稲
大豆
抵抗性
品種
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