培養大麦粒を用いたダイズ黒根腐病菌の低温長期保存法

タイトル 培養大麦粒を用いたダイズ黒根腐病菌の低温長期保存法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 越智 直
仲川晃生
発行年度 2009
要約 ダイズ黒根腐病菌は、大麦粒で培養し-80℃で冷凍庫に保存することで、3年以上の安定した保存が可能である。また、培養大麦粒は接種源としてそのまま使用できる。
キーワード ダイズ黒根腐病菌、長期保存法
背景・ねらい ダイズ黒根腐病はダイズ栽培上重大な被害を生じる立枯性病害であるが、発生生態はいまだに不明な点が多い。本病研究上の問題点の一つに菌株の安定的な維持・保存法が確立されていないことが挙げられる。そこで長期間の安定した菌株の維持を目的として、培養大麦粒を用いた簡易な長期保存法の開発を行った。
成果の内容・特徴
  1. PDA などで前培養した黒根腐病菌をオートクレーブ滅菌した大麦(六条皮麦)粒に接種し、1ヶ月間培養する。培養後、培養大麦粒を乾燥させ-80℃でマイクロチューブやプラスチッグバッグなどに入れて保存することで、黒根腐病菌を簡便、省力的に、かつ安定して保存可能である(図1)。
  2. -80℃で培養大麦粒を保存することにより、黒根腐病菌は3年以上安定して保存可能である。また、-20℃で保存した場合、保存2年目以降生存率が低下することがある(表1)。
  3. 本法で3年間保存した培養大麦粒より分離した菌株の病原力は、保存開始前の病原力と比較して同等である(図2)。
  4. 3年間保存した培養大麦粒をそのまま接種源として用いた結果は、定法であるバーミキュライトふすま培養物を接種源として用いた場合に比べてダイズに同程度の発病が認められたことから、接種源としても有効である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 従来の試験管保存と比べて、継代する必要がないため、省力でかつ雑菌の混入の可能性が低く、保存に広いスペースを要しない。
図表1 233770-1.png
図表2 233770-2.png
図表3 233770-3.png
図表4 233770-4.png
カテゴリ 大麦 乾燥 黒根腐病 大豆

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