低温ストレス耐性を示す大豆褐毛系統は葉のフラボノイド・組織抗酸化活性が高い

タイトル 低温ストレス耐性を示す大豆褐毛系統は葉のフラボノイド・組織抗酸化活性が高い
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 戸田恭子
高橋良二
岩科 司
羽鹿牧太
発行年度 2009
要約 低温処理により大豆褐毛系統ではケルセチン・イソラムネチン配糖体が、白毛系統ではケンフェロール配糖体が蓄積し、葉の抗酸化活性は褐毛系統のほうが高い。褐毛系統より白毛系統のほうが低温処理により葉が顕著に褐変化する。
キーワード ダイズ、低温ストレス、フラボノイド、抗酸化
背景・ねらい 大豆には毛茸が褐色のものと白色のものとがあるが、褐毛のほうが低温ストレス耐性が高い。毛茸色を支配する遺伝子Tはフラボノイド3'-水酸化酵素(F3'H)をコードし、大豆白毛系統はF3'H活性を持たないことが知られているが、大豆フラボノイドと低温ストレス耐性との関係は明らかでない。低温ストレスは酸化ストレスを引き起こし、植物の低温ストレス耐性には抗酸化活性が関わることが知られている。F3'Hはケルセチン等抗酸化活性の高いフラボノイドの生合成に必須な酵素である。そこで毛茸色に関する準同質遺伝子系統を用いて葉に蓄積するフラボノイドとその抗酸化活性・低温ストレス障害を比較する。
成果の内容・特徴
  1. 低温処理(15℃1週間)により、褐毛系統「To7B」ではケルセチンとイソラムネチン(3'-O-メチルケルセチン)の配糖体が、白毛系統「To7G」ではケンフェロール配糖体が蓄積する(表1)。フラボノイド標品のDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカル消去活性は平均してケルセチン、ルテオリン、イソラムネチン、ケンフェロールの順に高い。ルテオリン、イソラムネチンの活性はほぼ拮抗している。
  2. 葉のDPPHラジカル消去活性は対照(25℃)、低温処理(15℃1週間)とも褐毛系統のほうが高く、また同じ系統では低温処理個体のほうが高い(図1)。
  3. 低温処理(15℃5週間)により白毛系統のほうが褐毛系統より葉の褐変化が顕著に見られる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究は毛茸色に関する準同質遺伝子系統「To7B」、「To7G」の第2本葉を用いた結果である。光条件は300μmol m-2 s-1(25℃)、もしくは200μmol m-2 s-1(15℃)、16時間明期である。
図表1 233783-1.png
図表2 233783-2.png
図表3 233783-3.png
カテゴリ 大豆 光条件

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