分光測色計を用いた少量小麦粉での色相評価法

タイトル 分光測色計を用いた少量小麦粉での色相評価法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 金子成延
発行年度 2009
要約 小麦粉測色用分光測色計を標準より小容量の測色容器で測定可能になるように改造し、6g必要な試料量を1gで測定すると、L*、a*、b*は両測色法の間でいずれも高い正の相関を示すので少量小麦粉での測色法として利用できる。
キーワード 小麦粉色相、分光測色計、測定法、品質評価
背景・ねらい 小麦粉色相測定値の相互比較には、測定機器や測定方法が同一である必要があるため、農研機構の各地域研究センター小麦育種担当部署では分光測色計の統一機種(コニカミノルタCM-3500d)を使用している。一般的に小麦粉色相評価は加水ペーストを測色することで行われ、CM-3500dの場合は機器付属の粉体測色用標準容器である内径40mmのシャーレに加水ペーストを充填し、その底面を開口部径35mmの測色窓のある支持板(ターゲットマスク)に乗せて測色するが、これには6g程度の小麦粉を必要とする。育成初期世代などの量が限られた試料の色相評価を行うためには、より少量の試料で測定できることが望まれるため、従来法よりも少量試料での測色を統一機種で行うための手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 内径14.5mmのシャーレ(以下小容量シャーレと呼ぶ)と測色開口部径11mmのターゲットマスクを試作して測色することで、1gの小麦粉で測色できるようになる。
  2. 小容量シャーレでの測色値は、標準シャーレでの測色値に比べてL*が10、a*は0.3、b*は4それぞれマイナス方向に変化する。標準シャーレ使用と小容量シャーレ使用の測色値の相関係数はL*が0.93、a*が0.94、b*が0.97となり、いずれも高い正の相関を示すので、小容量シャーレを使用して測色値を比較することが可能である(図1)。
  3. 小麦粉/水比が1g/1.33ml、1g/1.67ml、1g/2ml(標準シャーレの6g/8ml、6g/10ml、6g/12mlに相当)では加水量が増すにつれてL*、a*、b*はマイナス方向に変化する(図2)。1g/1.67mlでシャーレへの充填のしやすさ等の作業性が良好で、これは色相評価標準機器のひとつであるフラワーカラーグレーダーで用いる加水比(30g/50ml)と等しい。
成果の活用面・留意点
  1. 小容量シャーレは10g程度の子実しか製粉に供することができない育成初期世代、ポット試験試料などの小麦粉色相評価を分光測色計CM-3500dで行う際に利用できる。小容量シャーレとターゲットマスクはコニカミノルタから入手可能である。
  2. 同一試料でも測色条件が異なると測色値は異なることが一般的であり、本評価法でも小容量シャーレでの測色値は標準シャーレでの測色値と異なるので小容量法での測色値を示す際には混同を避けるために測色機器、光源、視野等とともに使用したシャーレ径、試料調製条件等を明示する必要がある。
  3. 加水しない小麦粉では小容量シャーレと標準シャーレの測色値差は小さく、標準シャーレで加水を上記の割合で変えたときの測色値変動は検出されるがわずかであり、実用的には差はない。色相の平面分布を測定可能な二次元測色計で小麦粉ペーストを充填したシャーレ底面を測定すると外縁部のL*は中央部に比べて低い値となる(図3A)。開口部がある覆いを用いて標準シャーレ中央部だけを測色すると中央部のL*は低下する(図3C)。加水ペーストでは照射光の一部が内部へ透過して開口部外縁で測色部の外側へ散逸するため反射光量が減少し、測定値が変化すると考えられる。
図表1 233787-1.png
図表2 233787-2.png
図表3 233787-3.png
カテゴリ 育種 カラー 小麦 シカ 評価法

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