ブドウ黒とう病菌の効率的な分生子形成法

タイトル ブドウ黒とう病菌の効率的な分生子形成法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 河野 淳
中畝良二
山田昌彦
中野正明
三谷宣仁
上野俊人
発行年度 2009
要約 ブドウ黒とう病菌(Elsinoe ampelina)をジャガイモ煎汁寒天(PDA)培地上で短期間、低密度で生育させ、得られたコロニーを純水中で8時間程度振とう培養することで、安定的に大量の分生子を得ることができる。
キーワード ブドウ黒とう病、分生子形成、純水中振とう培養、分生子懸濁液調整
背景・ねらい ブドウ黒とう病は雨媒伝染性の病害であり、多雨地域でのブドウ露地栽培において重大な問題となっている。黒とう病抵抗性品種を育成するためには、黒とう病抵抗性の検定が不可欠であり、接種源となる分生子を安定的に確保する必要がある。しかし、既報の手法では分生子形成は不安定であり、大量の分生子を安定的に得ることができる技術は未確立である。そこで、培地上で生育させた黒とう病菌を用い、分生子形成の条件を検討し、安定的に大量の分生子を得るための培養法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. PDA培地上で5~6日間前培養したブドウ黒とう病菌のコロニー10個(図1)を200μlの純水中で振とう培養(24℃、150rpm)すると、培養開始から8~10時間後には分生子形成がほぼ極大に達する(図2)。
  2. 上記の条件で形成される分生子の数は、前培養における培地上でのコロニー密度に大きく依存し、低密度で生育したコロニーはより安定して多くの分生子を形成する(図3)。
  3. 高密度の分生子懸濁液を得るには、前培養のコロニー密度を2.5個/cm2以下とする(図3、図4)。前培養のコロニー密度を1.0個/cm2以下として6日間前培養を行うと最も効率的に多量の分生子が得られる(図4)。
  4. 本法により形成された分生子の懸濁液(5×103個/ml)を、ブドウ葉に接種することにより病斑が形成される(データ略)。また、分生子は20%グリセロールに懸濁後、 ~80℃下で長期間保存できる(データ略)。
成果の活用面・留意点
  1. 年間を通じて黒とう病菌の分生子懸濁液の調製が可能となり、抵抗性の検定に利用できる。
  2. 前培養のコロニー密度が高い場合でも、前培養日数を5日程度と短くすることで、ある程度の濃度の分生子懸濁液を得ることができる。
  3. 純水中での培養時間が24時間以上になると、分生子が発芽する場合があるため、必要以上に培養時間を長くしない。
図表1 233795-1.png
図表2 233795-2.png
図表3 233795-3.png
図表4 233795-4.png
カテゴリ 抵抗性 抵抗性品種 ばれいしょ ぶどう

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