タイトル |
「べにふうき」緑茶連続飲用による血圧上昇抑制 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2006~2009 |
研究担当者 |
山本(前田)万里
栗田郁子
亀井優徳
立花宏文
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発行年度 |
2009 |
要約 |
血圧が高めの被験者が「べにふうき」緑茶を8週間連続飲用すると、試験開始時に比べ有意に収縮期血圧が低下する。
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キーワード |
エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(メチル化カテキン;EGCG3"Me)、「べにふうき」緑茶、収縮期血圧、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)、ミオシン軽鎖リン酸化抑制
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背景・ねらい |
茶葉中カテキン、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)は血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅠ変換酵素活性の阻害作用を持つことが知られている。そこで、EGCGと構造が類似したメチル化カテキン(EGCG3"Me)を多く含有する「べにふうき」緑茶の新たな機能性を見出すため、血圧が高めの被験者に飲用させるヒト介入試験を行い、その作用機序を解明する。
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成果の内容・特徴 |
- 血圧が少し高めの正常高値血圧(収縮期血圧130~139mmHgまたは拡張期血圧85~89mmHg)および軽症高血圧(収縮期血圧140~159mmHgまたは拡張期血圧90~99mmHg)の成人男性10人に「べにふうき」緑茶(EGCG3"Me 34mg、EGCG 126mg含有)ティーバッグを熱湯で抽出し、1日2回ずつ飲用してもらうオープン試験では、飲用4週間後から血圧が低下し、8週間後では収縮期で有意な低下(平均8.65mmHg)が認められる(図1)。
- 軽症高血圧の成人男性0人を無作為に2群に分け、「べにふうき」緑茶(EGCG3"Me 25mg、EGCG 122mg含有)、「やぶきた」緑茶(EGCG 151mg含有)カプセルを1日2回ずつ摂取してもらう群間比較二重盲検試験では、「べにふうき」群では、摂取8週間後ではスタート時に比べ、収縮期で平均6.2mmHg、拡張期で平均3.2mmHg低下し、「やぶきた」群との差が認められる(図2)。
- EGCG3"MeおよびEGCGは、アンジオテンシンⅡを生成して血圧上昇の原因となるアンジオテンシンI変換酵素(ACE)活性を抑制する。その強さはEGCG3"Me>EGCGであり、0.1mM以上で両者間で有意差がある(図3)。
- EGCG3"MeおよびEGCGは、本態性高血圧を抑制すると考えられる平滑筋収縮に関わるミオシン軽鎖(MLC)リン酸化(in vitro試験)を抑制し、その強さはEGCG>EGCG3"Meである。動物が肝臓でEGCGから代謝物として生成するEGCG4"MeにはMLCリン酸化抑制活性は認められない(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- MLCリン酸化では、上記のカテキンの他、弱いながらエピカテキンガレート(ECG)も抑制効果を示す。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
機能性
茶
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