プロファイリングによる暖地・温暖地向きトウモロコシ親系統の系列分け

タイトル プロファイリングによる暖地・温暖地向きトウモロコシ親系統の系列分け
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 村木正則
榎 宏征
才 宏偉
湯山奈々
小松敏憲
発行年度 2009
要約 プロファイリングによる系列分けは暖地・温暖地向きトウモロコシ親系統にも有効で、親系統間の近縁関係を正確に把握できる。この方法で、晩播用デント種と春播き用デント種は別系列となり、両系列間の交配により多収なF1組合せが得られる。
キーワード トウモロコシ、プロファイリング、系列分け、自殖系統、飼料作物育種
背景・ねらい トウモロコシでは、遠縁な親系統間での組合せほど多収なF1が得られる可能性が高まることから、多収なF1品種を効率的に育成するためには親系統間の近縁関係をより正確に把握することが重要である。そこで、寒地向き親系統で確立したプロファイリング(60の特定SSRマーカーの多型による親系統間の近縁関係情報のデータベース)による系列(組合せ能力の特性を同じくする系統群)分けを暖地・温暖地向き親系統に適用し、由来によるデント種系列とフリント種系列を新たに系列分けする。さらに、新たな系列分けに基づく組合せ能力を検証し、暖地・温暖地向きF1品種育成の飛躍的な効率化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 暖地・温暖地向き親系統間のプロファイリングの近縁度とそのF1組合せの乾物収量との間には有意な負の相関が認められ、遠縁なF1組合せが多収となる傾向がある(図1)。近縁度による収量性に関するF1組合せの選抜は、暖地・温暖地向き親系統においても有効である。
  2. 春播き用のデント種(MD) 系列、フリント種(MF) 系列の親系統は、異なる系列の親系統とのF1組合せで近縁度が低く遠縁で、多収となる(表1)。春播き用親系統では、由来による系列分けと近縁度による系列分けは良く一致している。
  3. 晩播用デント種(RD) 系列の親系統は、MF系列のみならずMD系列の親系統との組合せでも近縁度が低く遠縁で、多収となる(表1)。
  4. プロファイリングの主座標分析による第1-2主座標図の位置関係を近縁度に加味することにより、さらに詳細な暖地・温暖地向き親系統間の近縁関係を把握できる(図2)。
  5. 主座標分析による第1-2主座標図では、RD系列の親系統は同じデント種系列のMD系列の親系統と異なる領域に位置し、RD系列はMD系列と遠縁の別系列である(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 育成親系統の組合せ能力検定試験の効率化や親系統育成の母材選定に活用できる。
  2. 育成親系統の主要親系統との詳細な近縁関係情報を提供することにより、育成親系統の民間種苗会社での利用を促進できる。
  3. プロファイリングの近縁度や主座標分析による系列分けは、病害抵抗性や栄養価には適用できない。
図表1 233930-1.png
図表2 233930-2.png
図表3 233930-3.png
カテゴリ 育種 寒地 飼料作物 データベース とうもろこし 病害抵抗性 品種

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