黒毛和種繁殖雌牛への海藻粉末給与は夏季の発情時運動量の減少を抑制する

タイトル 黒毛和種繁殖雌牛への海藻粉末給与は夏季の発情時運動量の減少を抑制する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 阪谷美樹
高橋昌志
発行年度 2009
要約 黒毛和種繁殖雌牛では夏季に発情中の運動量が減少するが、褐藻由来の海藻粉末を給与することにより発情中の運動量減少を抑制する。
キーワード 牛、黒毛和種、発情周期、海藻粉末、行動量
背景・ねらい 九州内では近年肉用牛での夏季の受精頭数の減少、受胎率の低下などが報告され始めている。夏季高温下における繁殖性の低下は乳牛で顕著なことが知られているが、肉用牛では明確な検討はなされていない。一方で、抗酸化物質などを給与することで夏季の高温時の悪影響が低減される可能性があり、去勢子羊に褐藻由来の海藻粉末を給与することで高温下での免疫能や抗酸化活性が増強されることが報告されている。そこで、肉用牛に褐藻由来海藻粉末を給与することにより、体温、発情周期に及ぼす夏季の高温の影響について検討を行いその影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 夏季(7-9月)に黒毛和種繁殖雌牛に濃厚飼料と比較し約30倍の抗酸化活性を有する海藻粉末50~100gを添加した濃厚飼料1kg/日・頭を給与した海藻区(6頭)、濃厚飼料1kg/日・頭のみを給与した未給与区(7頭)での平均体温は両区とも38.4℃となり海藻給与による差は認められない。
  2. 未給与区と海藻区では、発情周期(P=0.11)、発情持続時間(P=0.4)ともに有意な差は認められない(図1、図2)。
  3. 前肢に装着した万歩計で計測した歩数より非発情期の運動量に対する発情期中の運動量の割合を算出したところ、未給与区と比較して海藻区で発情中の運動量が有意に増加する(図3)。
  4. 海藻粉末給与により、血球中還元物質であるグルタチオン濃度は増加する(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 夏季における黒毛和種繁殖雌牛の繁殖成績改善に向けた基礎データとして活用できる。
  2. 屋根のないコンクリート敷き屋外パドック(試験期間中平均気温27.2℃、平均湿度71.1%)で、朝1回の海藻粉末給与、朝夕2回の乾草制限給与、自由飲水条件にて得られたデータである。
  3. 黒毛和種においても冬季(1-3月)と比較し、夏季(7-9月)に体温の上昇、発情周期の延長、発情中の運動量の減少が認められている。
図表1 233933-1.png
図表2 233933-2.png
図表3 233933-3.png
図表4 233933-4.png
カテゴリ 肉牛 乳牛 繁殖性改善

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