牛ロース芯の水溶性成分含量は総クレアチニン含量比との間に高い相関がある

タイトル 牛ロース芯の水溶性成分含量は総クレアチニン含量比との間に高い相関がある
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 常石英作
中西雄二
神谷 充
中村好徳
柴 伸弥
発行年度 2009
要約 牛ロース芯中のカルニチンやカルノシンなどの水溶性成分の含有量(mg/100g筋肉)は、総クレアチニン含量との比率(mg/mg総クレアチニン)との間に高い相関があり、供試肉重量が不明な場合でも、総クレアチニン含量との比率によって推定が可能である。
キーワード 牛ロース芯、総クレアチニン、カルニチン、カルノシン、バイオプシー
背景・ねらい 牛肉中の各種水溶性成分含量の調査に際し、バイオプシー試料のような微量の検体では、血液や脂肪組織の混入、あるいは冷凍保存中の霜の付着や乾燥などが試料の秤量に対する大きな誤差要因となる。またこれらの含有量について考察する場合、供試肉における脂肪量の把握が必要であるが、すでに試料を廃棄している場合には不可能である。そこで、筋肉組織に特徴的な成分であり、畜肉加工品における肉含量の推定に利用される総クレアチニン(クレアチン+クレアチニン)を、筋肉組織の供試重量判定指標として用いることの可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 牛ロース芯カルニチン含量(y mg/100g筋肉)は飼養条件によって大きく異なるものの、総クレアチニン含量は飼養条件に関わりなく筋肉組織量を反映するため、供試肉量が不明であっても、[カルニチン/総クレアチニン](x mg/mg総クレアチニン)によるカルニチン含量の推定が可能である(図1)。
  2. 肉用牛におけるロース芯カルニチン含量と月齢との関係について、カルニチンの総クレアチニンに対する比率で表示しても、元データと同様の結論が得られる(表1)。
  3. タウリン、カルノシン、遊離アミノ酸についてもカルニチンと同様に、総クレアチニンに対する比率との間で、高い相関係数を示すことから、総クレアチニンとの比率によって各成分含量の推定が可能である(表2)。
  4. 牛血液や脂肪組織はバイオプシーにおいて夾雑物となり得るが、総クレアチニン含量(mg/100g)は、血液中では4.3(n=9)、皮下脂肪では 8.3(n=2)と、ロース芯の432.2(n=233)と比較して、血液中は1/100、脂肪は1/50である。したがって血液や脂肪の混入は、総クレアチニンによる筋肉供試量の判定において無視することが出来る。
  5. 総クレアチニンの測定は、アミノ酸自動分析に用いるスルフォサリチル酸抽出液や遊離型カルニチン測定用の過塩素酸抽出液がそのまま利用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 筋肉のバイオプシー試料によるカルニチンやカルノシンなど、血中濃度の少ない項目についての調査を可能にする。
  2. 脂肪交雑が多い牛肉試料における水溶性成分含量の考察において、脂肪量の影響を排除することができる。
  3. 筋肉の種類によってクレアチニン含量が異なるため、同種の筋肉間での比較に用いる。
図表1 233934-1.png
図表2 233934-2.png
図表3 233934-3.png
カテゴリ 加工 乾燥 肉牛

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