乳牛ロース芯カルニチン含量は泌乳量と負の相関がある

タイトル 乳牛ロース芯カルニチン含量は泌乳量と負の相関がある
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 常石英作
田中正仁
鈴木知之
神谷裕子
中村好徳
神谷 充
柴 伸弥
発行年度 2009
要約 乳牛のロース芯カルニチン含量は、泌乳量との間に顕著な負の相関が認められ、泌乳量が多かった乳牛では筋肉中カルニチン含量が低下している。
キーワード 乳牛、搾乳、泌乳量、牛肉、カルニチン
背景・ねらい 草食動物の筋肉中に多く含まれるカルニチンは、脂肪酸の体内燃焼に関わる成分として知られている。そして、肉用牛(肉用種と乳用種の(若齢)肥育牛、肉専用種の経産牛)のロース芯における総カルニチン(遊離型+結合型)含量は、幼牛よりも成牛で多く含まれることが明らかになっている。このため、搾乳終了後の乳牛(いわゆる乳廃牛)の肉もカルニチン含量が多いのではないかという期待感が、酪農関係者から寄せられていた。そこで乳牛ロース芯のカルニチン含量を調査するとともに、その影響要因を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 肉用牛では加齢に伴うロース芯カルニチン含量(mg/100g)の増加が認められるが、乳牛では、産歴0の牛で最大値162.3を示し同一月齢の肉用牛とほぼ同じ値を示すものの、他の産歴のある乳牛では34.2~122.6となり、肉用牛と比較して極めて低い値となる(図1)。
  2. ロース芯カルニチン含量に対する泌乳量の影響は顕著であり、最終乳期における泌乳量との間にr=-0.685(n=15)、産歴のない1頭を加えるとr=-0.771(n=16)と、いずれも1%水準で有意な負の相関が認められる(表1)。
  3. 乳牛のロース芯カルニチン含量に対する泌乳量と産次の重回帰において、説明変数への産次の追加はP=0.09と有意とはならないものの、重相関係数 R=0.766となり、回帰式《-0.0062[泌乳量]-10.96[産次数]+151.6(n=15)》が得られ、産次の影響もある程度認められる(図2)。
  4. 4産の乳牛におけるロース芯カルニチン含量と泌乳量との間でr=-0.841(n=6)と5%水準で有意な負の相関が認められ、回帰係数も2産や3産の乳牛と比較して大きくなる。すなわち、産次が進んだ乳牛では、泌乳量の増加に伴うロース芯カルニチン含量の低下が顕著となる。
成果の活用面・留意点
  1. 乳廃牛肥育において、肉用牛の経産牛で認められたような豊富なカルニチン含量は期待できない。
図表1 233935-1.png
図表2 233935-2.png
図表3 233935-3.png
カテゴリ 肉牛 乳牛

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