タイトル |
2次元表面波探査による長大構造物周辺地盤の震動特性調査法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所 |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
中里裕臣
井上敬資
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発行年度 |
2009 |
要約 |
2次元表面波探査法は、地表起伏約20°までの測線について深度約20mまでのS波速度分布を把握することができ、農業用水路等の長大構造物周辺地盤の震動特性調査に応用することにより、地震時における要点検箇所を抽出できる。
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キーワード |
表面波探査、S波速度、軟弱層、地震
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背景・ねらい |
農業用水路等の長大施設では既存の地質調査資料は散点的であり、耐震性評価のために密な調査を行うにはコストの問題がある。一方、近年実用化された2次元表面波探査法では耐震性評価に必要なS波速度構造を地表からの簡易な探査により深度約15mまでの2次元断面として連続的に把握できる。しかし、本手法は平坦地盤への適用を基本としており、起伏地盤への適用性が明らかにされていない。そこで、数値モデルにより起伏地盤における本手法の適用限界を明らかにすると共に、現地適用およびボーリング調査との比較によりその有効性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- S波速度が均質(300m/s)で地表に起伏がある地盤モデルについて、野外探査データを数値解析により求め、これらのデータについて平坦地形を仮定した逆解析を行い、地形の影響を検討すると、測線起伏の角度が20°以下では地形の影響は少なく、均質地盤が解析されるが、30°では20%以上の低速度部が解析され均質地盤とならない(図1)。水路沿いの測線の起伏が20°以下の場合は、地形による誤差は20%未満と考えられ、平坦地形を仮定した2次元表面波探査・解析手法が適用できる。
- 洪積台地地下に軟弱な化石谷埋積層が伏在する測線(1)と、化石谷が伏在しない測線(2)について探査を実施し、解析結果を比較すると、図2に示すとおり化石谷埋積層伏在部では低速度帯の分布が把握される。
- 低速度帯に相当する測点280m地点のボーリング孔におけるPS検層の結果と探査結果を比較すると、両者の調和する範囲から深度20mまでの探査深度が確認できる(図3)。
- 探査結果に基づき測線(1)の測点290mと測点410mにおいて、ある地震波を入力波形とする等価線形解析を行い地表の相対変位量を比較すると、測点290mでは測点410mの7倍の変位が推定される(図4)。表面波探査による低速度帯の把握は地震時の要点検箇所を抽出する上で有効である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、農業用水路等の長大施設管理者が、地震時の施設点検箇所を把握する際の基礎資料の収集方法として活用が期待される。
- 洪積台地では地形調査では判読できない化石谷が本成果試験地のように伏在している場合があり、施設管理に当たっては連続的な地盤物性把握が地震時の要点検箇所の抽出に有用である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
コスト
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