熱水と化学処理を併用した効率的なもやし用緑豆種子殺菌方法の開発と評価

タイトル 熱水と化学処理を併用した効率的なもやし用緑豆種子殺菌方法の開発と評価
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2009
研究担当者 根井大介
Md. Latiful Bari
川本伸一
発行年度 2009
要約 熱水処理と次亜塩素酸ナトリウム処理を併用することにより、もやし用緑豆種子に付着させた病原菌を効果的に取り除くことが可能であった。処理後の発芽率も十分高く、簡便かつ効果的な種子殺菌方法である。
キーワード もやし、種子殺菌、熱処理、次亜塩素酸ナトリウム
背景・ねらい カイワレ大根・アルファルファ・もやしに代表される生食用芽もの野菜が原因食材と推定される食中毒が国内外で発生しており、大規模事例も報告されている。本食中毒の未然防止には原料種子の効果的な殺菌が極めて重要である。現状では、次亜塩素酸ナトリウム(~500 ppm)による殺菌が主流であるが、栽培する種子の種類や大きさや表面構造の違いにより、殺菌効果が一律に得られない等の問題がある。このような背景から、簡便かつ効果的な種子殺菌方法を開発するため、短時間の熱水処理と化学処理の併用によるもやし用緑豆(Vigna radiata)種子の殺菌効果について検証を行った。
成果の内容・特徴
  1. もやし用の緑豆種子(300g)を短時間熱水処理(85℃40秒間)することにより、種子表面に接種した大腸菌O157:H7およびサルモネラを検出限界以下にまで低下させることができる。殺菌種子から生産したもやしでは全てのサンプルで試験菌が検出されている(表1)。
  2. 緑豆種子の短時間熱水処理後に2,000ppmの次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)処理を2時間行うことにより、緑豆種子に接種した大腸菌O157:H7およびサルモネラを完全に殺菌することができる(表1)。
  3. 殺菌処理の有無に関わらず、種子の発芽率は商業的利用に十分な96%以上を維持している。
  4. 実用規模の装置を使用して、大規模殺菌試験(1回の種子処理量を3kg)を非病原性の大腸菌を接種した種子を用いて行った(図1)。熱水処理と次亜塩素酸ナトリウム処理の併用による殺菌処理で種子の大腸菌は検出限界以下となった。殺菌種子を用いて生産したもやしからは、低い頻度であるが大腸菌が検出され(表2)、完全に殺菌することは困難であった。しかしながら、熱水処理および化学処理を単独で行う殺菌方法と比較して、この両者を併用する手法の殺菌効果は極めて高く、もやしの安全性を従来に比べ飛躍的に高めるものである。
成果の活用面・留意点
  1. 熱水処理は非常に簡便な殺菌方法であり、技術の導入が容易く、中小企業等でも広く活用されることが期待される。
  2. 熱水処理と次亜塩素酸ナトリウム処理の併用は、現行の処理法よりも殺菌効果が高く、もやしの微生物汚染を従来よりも大きく低減できることが期待される。
  3. 本手法による種子殺菌では、発芽率の顕著な低下は認められず、殺菌処理にともなう生産量の大幅な減少は起こらない。
図表1 234014-1.png
図表2 234014-2.png
図表3 234014-3.png
カテゴリ アルファルファ かいわれ もやし

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