商品開発で重視すべき要因を明らかにする商品評価分析システム

タイトル 商品開発で重視すべき要因を明らかにする商品評価分析システム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 下山 禎
発行年度 2009
要約 消費者の商品に対する評価を調査し、総合評価に影響を及ぼす要因と影響力の大きさを解明するシステムを開発した。簡潔な調査方法から統計学的に有意な評価要因だけを抽出することで、商品開発において重視すべき要因を明らかにすることができる。
キーワード ロジスティック回帰モデル、オッズ比、消費者、商品評価
背景・ねらい 商品開発において重視すべき要因を明らかにするためには、消費者による商品評価の分析が重要である。その手法として、商品の各評価要因に対する顧客の重視度と満足度を基に顧客満足度を計測するCS(顧客満足度)分析があるが、同手法はモデルとしての妥当性や個々の評価要因のウェイトを統計学的に明示できないという限界がある。そこで、分析過程にロジスティック回帰モデルを取り入れ、評価要因ごとの総合評価への影響力を明らかにする新たな商品評価分析システムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. 商品評価分析システムの手順を図1に示す。1)まず、消費者による商品評価を実施する。対象となるサンプルAの他に、コントロールとして一般的に流通しているサンプルBを用意する。被験者に双方のサンプルを比較させ、提示した各評価要因および総合評価について、サンプルBを基準に、サンプルAがよい場合には○、そうでなければ×とする。2)Excelのワークシートに図のようにデータ入力を行う。商品評価で得た各評価要因のうち、○の回答を1、×の回答を0として説明変数とする。また、総合評価の結果、サンプルAが選択された場合には1、選択されなかった場合には0として従属変数とする。3)分析ソフトを用いてロジスティック回帰モデルの分析を行う。個々の説明変数は統計的検定が施され、有意性の低い評価要因を順次除外していくことで、統計学的に最適なモデルを構築することができる。4)分析結果のオッズ比(各評価要因の独立した影響力)から、どの評価要因が総合評価に対して大きな効果を及ぼすか(1より大きければ+の効果、1より小さければ~の効果)がわかる。
  2. 本システムを湯葉に適用した事例では、提示した7つの評価要因のうち「見た目」「風味」「甘み」の3つが総合評価に強い影響を及ぼす変数としてモデルに採用される。オッズ比の数値から、「甘み」が評価された場合に総合評価でサンプルAが選択される確率は、「甘み」が評価されなかった場合の10.3倍となる。同様に「風味」は10.0倍、「見た目」は6.6倍の影響力を持つと評価される。
  3. このように、商品評価の分析過程にロジスティック回帰モデルを組み入れることによって、統計学的に有意な評価要因の抽出が可能となる。本システムは、回答者への負担が少ない簡潔な調査方法と、専門的な知識がなくとも操作可能な分析ソフトを組み合わせることで、消費者の商品に対する評価に強い影響を及ぼす評価要因が抽出され、商品開発において重視すべき要因を明らかにすることができる。
成果の活用面・留意点
  1. 加工食品をはじめ多くの商品開発を行う際に、重点的に改良すべき要因を判断できる。
図表1 234067-1.png
カテゴリ 加工

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