フローサイトメーターによるアスパラガス倍数性カルス・個体の選抜法

タイトル フローサイトメーターによるアスパラガス倍数性カルス・個体の選抜法
担当機関 広島農技セ
研究期間 2002~2003
研究担当者 甲村浩之
発行年度 2003
要約 アスパラガスの倍数性育種において、コルヒチン処理したエンブリオジェニックカルスや再生植物からフローサイトメーターを利用して倍数性カルス・個体を選抜できる。
キーワード アスパラガス、フローサイトメーター、倍数性、育種
背景・ねらい アスパラガスは、近年、L・2L級の太茎が市場で高価である。太茎を目的とした品種育成では、四倍体親株の利用が有望で、選抜株の染色体倍加を行なっている。しかし、倍数性個体の判別には、従来、顕微鏡による染色体観察が必要である。これは、前処理を含めると2日の長時間を要し、生育が旺盛な時期で細胞分裂活性の高い生長点部位を使用するなど制約が大きい。そこで、倍数性を迅速に簡易に判定できるフローサイトメーターの利用を検討する。
成果の内容・特徴
  1. フローサイトメーター分析に用いる試料は、若茎およびぎ葉の組織切片(約5mm)、または植物体再生能のあるエンブリオジェニックカルス(径3mm)を用いる。
  2. 試料に核単離溶液(Partec社kitA液)を加え、すぐにカミソリで細断後、懸濁液をDAPI染色液(kitB液)に処理する。直後に、フローサイトメーター(プロイディアナライザーPA型)で分析すれば、1検体約5分で倍数性判別が可能である(図1)。
  3. 若茎組織を試料とした場合には、フローサイトメーターによる遊離核数ピークが明確に現れ、二倍体品種の感度(蛍光強度)を100とした場合、三倍体は150に、四倍体は200に相対値としてピークが現れるので、倍数性を容易に判別できる(図2)。
  4. 染色体倍加を目的にコルヒチン処理したエンブリオジェニックカルスでも、倍数性が既知の植物体材料を基準とすれば、四倍体カルスが選抜できる(図3)。
  5. エンブリオジェニックカルスから不定胚を経由して再生した幼植物体(約5mmの組織切片)から四倍体個体を選抜できる(表1)。
  6. 以上により、植物体やカルスの倍数性が迅速、かつ生長点などの特定の部位に限らず簡易に判定できるため、アスパラガス育種の効率化に役立つ。
成果の活用面・留意点
  1. アスパラガスの倍数性育種に活用する。
  2. 四倍体個体を効率的に選抜するには、エンブリオジェニックカルスの段階で四倍体を選抜し、植物体再生・順化後の幼植物で倍数性を再調査し確定することが望ましい。
図表1 234191-1.jpg
図表2 234191-2.jpg
図表3 234191-3.jpg
図表4 234191-4.jpg
カテゴリ アスパラガス 育種 品種

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