マガキによる有害ラフィド藻Chattonella属プランクトンの捕食

タイトル マガキによる有害ラフィド藻Chattonella属プランクトンの捕食
担当機関 (独)水産総合研究センター 西海区水産研究所
研究期間 2008~2008
研究担当者 前野幸男
鈴木健吾
伏屋玲子
長副 聡
深尾剛志
圦本達也
山砥稔文
木元克則
発行年度 2009
要約 浅海域に生息するカキ類を有害赤潮のChattonella属プランクトンに暴露したところ、障害は確認されず、これらを捕食することが明らかとなった。このことにより、カキ類の捕食能力を活用して、Chattonella赤潮を制御する可能性が明らかとなった。
背景・ねらい 近年、 有明海や八代海においてChattonella属の赤潮が頻繁に発生するようになり、 魚類養殖に深刻な被害をもたらしている。これまで本属の魚類に対する影響は調べられているが、 二枚貝類に関する知見は殆どない。そこで、 室内実験によりChattonella属暴露時のマガキの濾水率および生残状況を調べた。
成果の内容・特徴 実験は2Lの濾過海水を入れた水槽に宮城県産種苗のマガキを1個体ずつ収容して行った。水槽に有明海より単離したChattonella antiquaおよびC. marinaの培養株を接種し、1時間毎に海水中のプランクトン細胞密度を計数し、 マガキの濾水率を算出した。また,対照として市販の濃縮珪藻を用いた同様の実験を行った。この結果、以下の成果を得た。
  1. 水温25℃で最長24時間の暴露を行ったが、いずれの試験区でもマガキは死亡しなかった。
  2. マガキの濾水率は特定の細胞密度で最大となり、暴露濃度が濃いと濾水能力は著しく低下した(図1、図2)。
  3. マガキの濾水率が最大となるプランクトンの密度は、珪藻で約2×104cells/ml、C. antiquaで約20cells/mlおよびC. marinaで約100cells/mlであった(図1、図2)。
  4. プランクトンは種でサイズが異なることから、細胞数を細胞容積に換算したところ、いずれの種においても細胞容積が約1×106μm3/mlの密度で濾水率が最大となった(図3)。
  5. 試験マガキの中腸腺を免疫組織化学的手法を用いて分析すると、Chattonellaが中腸腺細胞内に取り込まれていることが明らかになった(図4)。なお、鰓、外套膜及び中腸腺の組織への障害は認められなかった。
  6. 以上の結果から、マガキはChattonella属を濾過し、消化吸収することが明らかとなった。
成果の活用面・留意点 マガキがChattonellaを捕食することから、カキ養殖及びカキ礁によりChattonella赤潮の発生を抑制する可能性が明らかとなった。また、有明海及び八代海の漁場環境改善の大きな手がかりとなると考えられる。
図表1 234300-1.png
図表2 234300-2.png
図表3 234300-3.png
図表4 234300-4.png
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