魚種交替に伴う高次捕食者の摂餌生態的な変化

タイトル 魚種交替に伴う高次捕食者の摂餌生態的な変化
担当機関 (独)水産総合研究センター 遠洋水産研究所
研究期間 2007~2007
研究担当者 岡村 寛
清田雅史
米崎史郎
発行年度 2009
要約 東北沖で1953~88年に捕獲されたキタオットセイの胃内容物情報を基に、10年スケールの食性変動パターンを調べた。魚種交替に応じて、マイワシ・サバ類の豊漁期にはこれらの魚類を、一方カタクチイワシの豊漁期にはハダカイワシ類をそれぞれ利用していた。オットセイは餌環境に応じて摂餌生態を柔軟に変化させており、海洋生態系における餌生物から高次捕食者へのボトムアップ応答が確認された。
背景・ねらい マイワシ、カタクチイワシ、サバ類などの日本周辺の浮魚類は、大規模な資源変動(魚種交替)を示すことが知られている。魚種交替に対し、高次捕食者がどのような応答を示すか解明することは、魚類と高次捕食者と漁業の関係を把握し、生態系を配慮した漁業管理を実践する上で重要な基礎的知見を与えるものと期待される。
東北沖のキタオットセイについては、おっとせい保存条約に基づく長期科学調査データが蓄積されている。そこで、これらのデータのうち1953~88年の胃内容組成データを解析し、生態系の頂点に位置する海産哺乳類が、餌環境(浮魚類組成)の変化に対してどのような応答を示すか検証した。
成果の内容・特徴
  • 餌生物として、マイワシは80年代、サバ類は70年代にそれぞれ高頻度となり、東北海域におけるこれらの魚種の漁獲量増加と変動傾向が一致していた。餌生物の変動に対する高次捕食者のボトムアップ応答が確認された(図 1、2)。
  • 魚種交替構成種であるカタクチイワシは、資源水準に関わらず、あまり利用されておらず、オットセイは餌に対して一定の選択性をもち、餌環境によっては生態的特性の異なる餌生物(ハダカイワシ類など)にスイッチする能力があることが確認された。
成果の活用面・留意点
  • 高次捕食者であるオットセイが、餌環境に応じて摂餌生態を動的に変化させることが明らかになり、海洋生態系における高次捕食者の機能を把握するためには、一定の食性情報のみに基づく判断では不十分であることが確認された。
  • 餌環境の変化に伴う食性変化が、高次捕食者の個体群動態にどのようなボトムアップ効果をもたらすか、また生態系の安定性や漁業との競争関係にどのような影響をもたらすか、解析の余地がある。
図表1 234310-1.png
図表2 234310-2.png
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