タイトル |
メロンえそ斑点ウイルス媒介菌Olpidium bornovanusの土壌検定法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
津田新哉
小粥理絵
神田絢美
田中千華
鐘ヶ江良彦
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発行年度 |
2010 |
要約 |
O. bornovanusを含む土壌に対し2種類のDNA抽出法(土壌DNAの直接抽出とメロン根で培養した後の根の全DNA抽出)と検出感度の異なるPCR法(1段階PCR、2段階PCR(Nested PCR))を組み合わせると、被検土壌の本菌汚染程度を段階的に評価できる。
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キーワード |
Olpidium bornovanus、土壌検定法、PCR法、メロンえそ斑点ウイルス
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背景・ねらい |
メロンえそ斑点ウイルスを媒介するOlpidium bornovanusの土壌中の動態を把握することは、本病の被害回避を図る際に重要である。しかしながら、本媒介菌を土壌から直接検定する技術は皆無である。そこで、広く普及しているPCR法を使用して、被検土壌中の本菌の汚染程度を段階的に評価する土壌検定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- O. bornovanusのDNAを抽出するために、直接抽出法(O. bornovanusを含む土壌から直接DNAを抽出)と間接抽出法(O. bornovanusを含む土壌をメロン根に接種して、本菌を一旦増殖後、根から全DNAを抽出)を実施する。各抽出DNAを試料に2つのPCR(1段階PCR、2段階PCR)を組み合わせ、計4つの検出法を構築する(図1)。
- 直接抽出法は、ISOIL for beads beating(NIPPON GENE)を用いて被検土壌からDNAを抽出する。
- 間接抽出法は、バーミキュライトを装填した50mlコニカルチューブにメロン「雅春秋系」を播種し、1週間後に被検土壌2gを表土に接種して、恒温室(27℃)で栽培する。その後、1週間または2週間後にメロン根をそれぞれ回収し、全DNAを抽出する。
- PCR法は、O. bornovanusの18S/26S rDNA ITS領域に特異的な上流プライマーO2 (5'-TTCGCCGCCGCTCGTGCCGG-3')、またはF1(5'-TCGAATCTTTGAACGCAC-3')と、下流プライマーbor2(5'-CCAATGTACACCGTCGATGC-3')、またはR1 (5'-ATGCGGAGGAAGGCCTC-3')を用いて、<94℃2minを1サイクル、(98℃30sec、53℃30sec、68℃30sec)を40サイクル>の条件で行う(図1)。
- 直接抽出法—1段階PCRは、千葉県農林総合研究センター暖地園芸研究所(以下、千葉暖地園研)のO. bornovanus強汚染土を検出できない(図1)。
- 千葉暖地園研強汚染土を殺菌した砂で段階希釈し残る3つの方法で検定すると、間接抽出法-2段階PCR(2週間)、間接抽出法-1段階PCR(2週間)、間接抽出法-2段階PCR(1週間)、直接抽出法-2段階PCRの順に高い検出感度を示す(表1)。
- メロン連作の千葉暖地園研強汚染圃場土(2009年6月、2010年3月と7月<7月は4箇所>に採取)においても、表1と同様の検出感度の順番となる。また、間接抽出法-1段階PCR(1週間)は殆ど検出されないことから、本検定法へは組み入れない(表2)。
- 以上から、間接抽出法-2段階PCR(2週間)、間接抽出法-1段階PCR(2週間)、間接抽出法-2段階PCR(1週間)、直接抽出法-2段階PCR、さらに陰性区分を含めた5段階の方法により、O. bornovanusの汚染程度を段階的に示すことができる。
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成果の活用面・留意点 |
- O. bornovanusの汚染程度の調査は、圃場の土壌消毒の実施や次作の抵抗性品種選定等、メロンえそ斑点病対策技術導入の判断規準を提供する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
抵抗性品種
土壌消毒
播種
メロン
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