子牛生産の環境負荷は牧草利用と放牧飼養により低減する

タイトル 子牛生産の環境負荷は牧草利用と放牧飼養により低減する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 千田雅之
荻野暁史
森 昭憲
発行年度 2010
要約 水田で生産される国産飼料を利用して温暖化影響の少ない子牛生産を行うためには、牧草の放牧利用が最も効果的である。イネWCSの利用にともなう環境負荷軽減には、収穫ロスの削減、梱包サイズの拡大、小域の流通が必要である。
キーワード 子牛生産、稲発酵粗飼料、放牧、LCA、環境負荷
背景・ねらい 水田の有効利用と飼料自給率の向上を図るため、水田の飼料利用が推進されている。他方、畜産においては環境負荷の少ない家畜生産のあり方が模索されている。そこで、水田で生産される国産飼料を利用した肉用子牛生産の環境影響を、温暖化、酸性化、富栄養化、エネルギー消費の面から検討する。また、国産飼料の種類と利用方法の相違による環境負荷を比較し、環境負荷の少ない水田の飼料利用のあり方を明らかにする。
そこで、LCA(Life Cycle Assessment)にもとづいて、国産飼料生産に伴う環境負荷物質の排出量を計算し(表1)、給与飼料と飼養形態別に繁殖牛飼養1日あたりの環境負荷を比較し(表2)、1年を通じた繁殖牛及び子牛の飼養方式(300日)と給与飼料にもとづいて、子牛生産1頭あたりの環境負荷物質の排出量を計算する(表3)。
成果の内容・特徴
  1. 国産飼料1kgの生産、輸送に掛かる環境負荷を輸入乾草と比較すると、牧草はエネルギー消費が少なく温暖化への影響は小さいが、施肥量が多いため酸性化や富栄養化への影響は同程度である。堆肥を活用した稲発酵粗飼料(イネWCS)は、酸性化や富栄養化への影響は小さいが、イネを湛水状態で栽培するため、温暖化への影響は輸入乾草よりも大きい。また、収穫ロスが多く梱包サイズの小さい専用機で収穫し、遠距離運搬するほど温暖化への影響は大きくなる(表1)。
  2. 国産飼料を利用した繁殖牛飼養に掛かる環境負荷は、輸入飼料に依存した飼養と比較して、酸性化、富栄養化、エネルギー消費の面で負荷が小さく、飼料の収穫や運搬作業の少ない放牧飼養の環境負荷はとくに小さい。温暖化の影響は、牧草を主とする舎飼や牧草放牧では少ないが、イネWCSを利用すると大きくなる(表2)。
  3. 牧草主体の子牛生産は、エネルギー消費が最も少なく温暖化の影響も小さい。イネWCSを繁殖牛の主飼料とする子牛生産は、温暖化への影響は輸入飼料依存の飼養より大きくなり、広域流通ではその傾向が顕著になる。牧草と飼料イネ、イネWCSを組み合わせた繁殖牛の放牧飼養による子牛生産は、すべての項目で輸入飼料依存の飼養を下回る(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 環境負荷の少ない子牛生産を推進する際の飼料の生産利用体系の構築に活用できる。
  2. 飼料生産、飼料給与プロセスの活動量は、茨城県常総市の営農現場による。環境負荷物質の排出係数は、「日本国温室効果ガスインベントリ報告書」他による。
図表1 234372-1.png
図表2 234372-2.png
図表3 234372-3.png
カテゴリ 水田 施肥 繁殖性改善 輸送

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