RNAサイレンシングを利用してダイズわい化ウイルス抵抗性を付与する

タイトル RNAサイレンシングを利用してダイズわい化ウイルス抵抗性を付与する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2002~2009
研究担当者 藤郷 誠
酒井淳一
兼松誠司
日高 操
山岸紀子
高畑義人
古谷規行
静川幸明
発行年度 2010
要約 ダイズに遺伝子組換えを利用して、ダイズわい化ウイルスの外被タンパク質遺伝子を特異的に分解するRNAサイレンシングを誘導すれば、ダイズわい化ウイルスに抵抗性を付与することが出来る。
キーワード ダイズ、ダイズわい化ウイルス、SbDV、RNAサイレンシング、遺伝子組換え、抵抗性
背景・ねらい 植物ウイルスの遺伝子の一部を導入することによりRNAサイレンシングと呼ばれる機構が誘導され、ウイルス抵抗性を示すことがモデル植物と一部の作物で証明されている。植物細胞内で、不安定な二本鎖RNAや過剰発現されたRNAが21から25塩基の二本鎖RNA (short interfering RNA, siRNA)に分解されることによりRNAサイレンシングが誘導され、塩基配列に相同性を持つウイルスが侵入するとそのウイルスを速やかに分解するため抵抗性が付与される。作物のウイルス抵抗性育種は抵抗性遺伝子資源に頼るところが大きいが、その抵抗性遺伝子を凌駕するウイルス出現の危険性をはらんでおり、RNAサイレンシングもウイルス抵抗性付与技術に有効な手段のひとつである。本研究では、RNAサイレンシングを利用して、北日本においてダイズ生産に甚大な被害を起こしているわい化病の病原ウイルスであるダイズわい化ウイルス(Soybean dwarf virus, SbDV)に抵抗性の付与を試みる。
成果の内容・特徴
  1. 二本鎖RNA誘導用ベクターまたは過剰発現ベクターを用いて、パーティクルガン法によりダイズ不定胚(品種「Jack」)にSbDV の外被タンパク質(CP)遺伝子を導入することができる。
  2. 二本鎖RNA誘導用ベクターを用いてSbDV CP遺伝子を導入したダイズの一部は、SbDV CP遺伝子の転写後抑制型のRNAサイレンシングが誘導され、SbDV CP遺伝子のメッセンジャーRNA (mRNA)を蓄積せず、RNAサイレンシングの指標であるsiRNAが検出される(図1)。
  3. 過剰発現ベクターを用いてSbDV CP遺伝子を導入したダイズの一部は、閾値型のRNAサイレンシングが誘導され、SbDV CP遺伝子のmRNAとsiRNAが同時に検出される(図2)。
  4. RNAサイレンシングが誘導された遺伝子導入系統にSbDVを保毒したアブラムシを接種すると、非組換えダイズ(品種「Jack」)と比較してSbDVの感染が認められない無病徴個体が高頻度で確認される。(表1)
成果の活用面・留意点
  1. SbDV抵抗性検定には病徴観察と「RNAドットブロット法によるダイズわい化ウイルス系統の識別」(平成17年度成果情報、東北農研、科学参考)を利用する。無病徴の組換えダイズでは、SbDVが増殖せず、CP遺伝子由来siRNAが検出される。
図表1 234414-1.png
図表2 234414-2.png
図表3 234414-3.png
カテゴリ 育種 植物ウイルス 大豆 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性検定 品種 わい化

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