リンゴの根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子に強く連鎖するDNAマーカー

タイトル リンゴの根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子に強く連鎖するDNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2005~2010
研究担当者 森谷茂樹
岩波 宏
古藤田信博
高橋佐栄
須崎浩一
山本俊哉
阿部和幸
発行年度 2010
要約 ミツバカイドウ「サナシ63」の第2連鎖群に位置する根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子に強く連鎖するDNAマーカーを用いることで、リンゴ台木育種において根頭がんしゅ病抵抗性のマーカー選抜が可能である。
キーワード リンゴ台木、根頭がんしゅ病、SSRマーカー、病害抵抗性、マーカー選抜育種
背景・ねらい リンゴわい化栽培の普及には大量に苗木を供給することが不可欠である。しかし、苗木生産現場においてわい性台木に高頻度で根頭がんしゅ病が発生した事例が報告されており、その対策が急務である。根頭がんしゅ病に抵抗性のリンゴ遺伝資源であるミツバカイドウ「サナシ63」が有する抵抗性は一つの主働遺伝子によって優性に遺伝するため、「サナシ63」を母本とした交雑実生集団から抵抗性個体の選抜が実施されている。しかし、多数の個体について抵抗性検定試験を行うことは、複数年にわたる多大な労力を必要とする。そこで、根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子をリンゴ染色体上へマッピングすることによって、DNAマーカーによる効率的な選抜方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 「JM7」×「サナシ63」のF1集団119個体を用いた根頭がんしゅ病菌PeachCG8331株の接種試験および連鎖解析から、根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子(Cg)は「サナシ63」の第2連鎖群に位置している(図1)。
  2. SSRマーカーNZmsEB119405の遺伝子型の分離は「サナシ63」由来の根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子の分離と完全に一致するため、NZmsEB119405と本抵抗性遺伝子は遺伝的距離0cM、LOD値35.8で連鎖する(図1、表1)。「サナシ63」においてNZmsEB119405で増幅する191bpの対立遺伝子が優性の抵抗性遺伝子と連鎖している。
  3. 「M.9」、「M.26」、「M.27」および「G.65」と「サナシ63」の雑種第1代集団では、NZmsEB119405の191bpの増幅バンドを保持する個体を抵抗性、保持しない個体を罹病性として識別できる(表1)。
  4. 「JM1」、「JM5」、「Mo-84a」および「盛岡セイシ」は、NZmsEB119405において「サナシ63」と由来を異にする罹病性の対立遺伝子191bpを持っている一方、「サナシ63」と200bpの対立遺伝子を共有しないため、これらと「サナシ63」の雑種第1代集団では、NZmsEB119405の増幅バンド200bpを保持する個体を罹病性、保持しない個体を抵抗性として識別できる(表1、図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子を保有している後代の中には、根頭がんしゅ病菌の接種試験ではわずかにがんしゅを形成する個体が含まれることから、マーカーによって選抜した個体に対して接種試験を行い、がんしゅの発生程度を確認することが望ましい。
  2. 本研究が対象とする抵抗性遺伝子は、根頭がんしゅ病菌PeachCG8331株には効果を有するが、その他の菌株に対する反応性は明らかになっていない。
  3. NZmsEB119405の他に、「サナシ63」の根頭がんしゅ病抵抗性遺伝子と4.3cM以内に連鎖している4つのマーカー(Hi02a07、AT000400-SSR、CH03b01およびNZmsPal92)を獲得しており、抵抗性の識別に利用できる。
図表1 234428-1.png
図表2 234428-2.png
図表3 234428-3.png
カテゴリ 育種 遺伝資源 台木 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性検定 苗木生産 病害抵抗性 りんご わい化

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