ビタミンCとβ-クリプトキサンチンの摂取量が多い閉経女性では骨密度が高い

タイトル ビタミンCとβ-クリプトキサンチンの摂取量が多い閉経女性では骨密度が高い
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 杉浦 実
中村美詠子
小川一紀
生駒吉識
下方浩史
安藤富士子
矢野昌充
発行年度 2010
要約 ミカン産地住民を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)から、閉経した女性では、ビタミンCとβ-クリプトキサンチンの両方の摂取量が多い人ほど骨密度が高く、骨密度低値のリスクが低い。
キーワード ビタミンC、β-クリプトキサンチン、骨密度、閉経女性
背景・ねらい 近年の欧米を中心とする栄養疫学研究から、ビタミンやミネラル類が豊富に含まれている果物・野菜の摂取が健康な骨の形成・維持に重要であることが明らかにされつつあるが、最近では、抗酸化作用を有するカロテノイドの関与も指摘されている。これまでに当研究チームでは、国内ミカン産地の住民約千名を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)から、閉経女性では血中β-クリプトキサンチンレベルが高い人ほど骨密度が高く、骨密度低値のリスクが低いことを明らかにしてきた。しかしながら、抗酸化作用を有するビタミン・カロテノイド類の摂取状況と骨密度との関連について疫学的に検討された報告はなかった。そこで、ビタミン3種(ビタミンC、E及びレチノール)とカロテノイド6種(リコペン、α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、β-クリプトキサンチン及びゼアキサンチン)のそれぞれの摂取量と骨密度との関係について、食事調査した栄養摂取量のデータから検証する。
成果の内容・特徴
  1. 三ヶ日町研究の協力者のうち、調査時に既に閉経していた女性293名を対象にしてビタミン・カロテノイド類の摂取量と骨密度低値リスクとの関連を解析すると、ビタミンCとβ-クリプトキサンチンにおいてのみ、最も多い群における骨密度低値出現のオッズ比が、最も少ない群に対してそれぞれ0.25と0.40で有意に低い(表1)。しかしながら、ビタミンC及びβ-クリプトキサンチンの摂取量と骨密度低値リスクとの負の関連は、β-クリプトキサンチンあるいはビタミンCの摂取量がそれぞれの群で同じになるように 仮定して計算すると有意でなくなる。
  2. ビタミンCとβ-クリプトキサンチンの摂取量をもとに閉経女性を4群に層別化し(グループ1:両方の摂取量が少ない群、グループ2:ビタミンCは多くてβ-クリプトキサンチンが少ない群、グループ3:ビタミンCは少なくてβ-クリプトキサンチンが多い群、グループ4:両方とも多い群)、両方の摂取量が少ないグループ1での骨密度低値リスクのオッズ比を1として、グループ2~4でのオッズ比を計算すると、ビタミンCとβ-クリプトキサンチンの両方の摂取量が多い群においてのみオッズ比は有意に低い(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. β-クリプトキサンチンとビタミンCを多く摂取することが閉経女性の骨粗鬆症の予防に役立つ可能性が示唆されることから、今後、ヒトレベルでの研究を進める際に役立つ情報となる。
  2. 本調査結果は横断研究脚注)の結果であり、結果と原因との時間的な関係を考慮出来ていないため、より因果関係を明らかにするためには追跡研究が必要である。
図表1 234429-1.png
図表2 234429-2.png
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