カンキツ果実のカロテノイド組成に関わるZEP遺伝子のアレル特異的遺伝子発現

タイトル カンキツ果実のカロテノイド組成に関わるZEP遺伝子のアレル特異的遺伝子発現
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 遠藤朋子
杉山愛子
生駒吉識
藤井 浩
島田武彦
清水徳朗
大村三男
発行年度 2010
要約 カンキツ果実のカロテノイド組成の品種間差異に関与するZEP遺伝子のゲノム配列のうち、果実成熟期のカロテノイド蓄積に関連する遺伝子座のアレル間では、果実成熟期の遺伝子発現量および5'上流域に存在するモチーフ構造が異なる。
キーワード カンキツ、カロテノイド、品種間差異、アレル、遺伝子発現
背景・ねらい カンキツ果実の色素成分カロテノイド類は種々の機能性を示すことから、高含有品種の育成が期待されている。果実へのカロテノイド蓄積には代謝酵素遺伝子の発現レベルが重要で、このうちゼアキサンチンをビオラキサンチンに変換するZEP (Zeaxanthin epoxidase) をコードする遺伝子は、ウンシュウミカンとオレンジで果実発育・成熟中の発現量が異なり、カロテノイド組成の品種間差異の一要因であると考えられる。これら遺伝子発現の制御要因を調査するため、ZEP遺伝子のゲノム配列を単離して、遺伝子座やアレルの構造を明らかにする。また、育種における機能的選抜マーカーの作成をめざし、カンキツ品種がもつZEP遺伝子のアレルと遺伝子発現の関連を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ウンシュウミカン「宮川早生」ゲノム中には、少なくとも4種類のZEP遺伝子配列(ZEP-1m-2m-3m-4m)が存在し、このうちZEP-1m-2mは同一遺伝子座に、ZEP-3m-4mはそれ以外の遺伝子座に座乗する。「トロビタ」オレンジはZEP-1/-2遺伝子座に「宮川早生」とよく似るが塩基配列が僅かに異なるハプロタイプ(ZEP-1o/-2o)を、両者の雑種の「清見」はZEP-1o/-2mを有している。
  2. 「宮川早生」ではZEP-1m/-2mの発現が果実成熟期に増大するのに対し、ZEP-4mは幼果期に発現した後、果実発育後期には発現が低下する(図1)。またZEP-3mは発現が検出されない。オレンジのZEP遺伝子(ZEP-1o-2o-3o-4o)も同様の発現パターンを示すため、主にZEP-1/-2遺伝子座の発現が果実のカロテノイド蓄積に関与し、ZEP-3m-4mは機能を持たないか、またはそれ以外の機能を有すると考えられる。
  3. 果実におけるZEP-1/-2のアレル特異的な発現比は品種により異なるが、いずれもZEP-1-2より高く、調査した時期を通じてほぼ一定である(表1)。
  4. 「宮川早生」および「トロビタ」オレンジゲノムのZEP-1/-2の5'上流域には図2に示すとおり、ハプロタイプ特異的な配列の他にZEP-1およびZEP-2でモチーフ構造が異なる。
成果の活用面・留意点
  1. 得られた結果は、カンキツZEP遺伝子の発現制御やカロテノイド組成の品種間差異の決定機構の解明、DNAマーカー等の開発に役立てることができる。
  2. ZEP-3-4が同一遺伝子座に由来するアレルであるかどうかは不明である。
  3. ZEP-1/-2の5'上流域に存在するモチーフ構造の遺伝子発現制御への関与については、今後検討を要する。
図表1 234441-1.png
図表2 234441-2.png
図表3 234441-3.png
カテゴリ 育種 温州みかん 機能性 DNAマーカー 品種 その他のかんきつ

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる