KODAによるニホンナシの自発休眠打破効果

タイトル KODAによるニホンナシの自発休眠打破効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 阪本大輔
中村ゆり
杉浦裕義
杉浦俊彦
朝倉利員
横山峰幸
森口卓哉
発行年度 2010
要約 ニホンナシ「幸水」、「なつしずく」および「豊水」の3品種についてKODA 100μMを処理することにより、自発休眠打破剤として農薬登録されているシアナミドに比べて効果は劣るものの、自発休眠打破の効果が認められる。
キーワード ニホンナシ、KODA、気候温暖化、発芽不良、休眠打破
背景・ねらい 1998年(平成10年頃)より、ニホンナシの施設栽培において、温暖化による自発休眠覚醒の不足のため、そのまま加温しても萌芽不良症状を呈したり、萌芽しても開花までの期間が長くなるなど、自発休眠覚醒に関わる問題が生じている。また、将来、我が国の露地栽培で同様な現象が起きる可能性もあるため、低温遭遇時間不足を補う目的で休眠打破剤の使用が考えられる。現在、シアナミド剤が自発休眠打破剤として利用されているが、今後、温暖化が進むことにより、露地栽培などでも使用する機会が増え、人体への負担が増える可能性がある。このことから、毒性の少ない新規自発休眠打破剤の開発が望まれている。これまでに、トチノキにおいてジャスモン酸を処理することにより、自発休眠打破効果が認められている。このことから、植物由来の天然物質であり、ジャスモン酸と類縁の9,10-α-ケトールリノレン酸(KODA)について自発休眠打破効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 12月上旬の「幸水」切り枝において、KODAによる自発休眠打破効果が認められ、10μMよりも、100μMおよび1000μMを処理することにより、高い効果が得られる(表1)。
  2. 自発休眠状態にあるニホンナシ「幸水」、「なつしずく」、「豊水」の切り枝にKODA 100μMを処理し、25℃のインキュベーターで水挿し培養すると、無処理よりも萌芽が促進されて萌芽率が高くなる。(図1)。
  3. ニホンナシ等で休眠打破剤として登録されているシアナミドに対して、KODA処理の効果は劣るものの、10月下旬の処理に比べ、11月下旬の処理では両薬剤による効果の差は小さくなる(図2)。
  4. KODA処理ではいずれの処理時期においても薬害は認められない(データ略)。
成果の活用面・留意点
  1. 今回得られた結果は切り枝条件であり、実用技術に利用するためには、さらに検討する必要がある。
図表1 234445-1.png
図表2 234445-2.png
図表3 234445-3.png
カテゴリ 病害虫 施設栽培 農薬 発芽不良 品種 薬剤

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