タイトル |
暖房のための燃料消費量を削減するトマトの生長点近傍局所加温技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2009~2010 |
研究担当者 |
河崎 靖
鈴木克己
安場健一郎
高市益行
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発行年度 |
2010 |
要約 |
慣行では温室通路地面上に配置する温風ダクトをトマト群落上に吊り下げ、生長点・開花花房付近に温風が直接当たるように加温を行う。本方式では施設内を均一に加温する慣行法と比較して、収量の低下を招くことなく暖房時の燃料消費量削減が可能となる。
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キーワード |
トマト、省エネ、局所加温、温風ダクト、垂直温度分布
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背景・ねらい |
近年の原油価格の高騰への対応や、二酸化炭素排出量削減のため、施設園芸分野における省エネルギー対策は喫緊の課題である。冬季の暖房は施設内を均一に加温するのが一般的であるが、施設生産において低温で障害が発生しやすい部位は茎頂の生長点や花芽などの分裂組織であり、成長した茎葉や肥大期の果実は低温下でも比較的障害が発生しにくい。そこで、トマト茎頂の生長点・開花花房付近(以下、生長点近傍とする)を局所的に加温することで暖房のための燃料消費量の削減を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 生長点近傍局所加温は市販の温風暖房機、ポリダクトを用い、通常地面上に配置する温風ダクトを群落上に吊り下げることで行う(図1)。温風ダクトには直径1cm程度の小孔を水平方向に適当な間隔で連続的に開け、温風が生長点近傍に直接当たるようにする。温風ダクトから出る温風の温度は、暖房機から離れるに従い低くなるため、温風ダクトに開ける小孔の間隔は暖房機近くでは広く、遠くなるほど狭くして遠方の風量を増加させる。暖房機の制御用温度センサーも温風が当たる高さに設置する。
- 慣行と比較して、夜間の気温および植物体表面温度は生長点近傍では高温となり、逆に下部では低温となる(図2、3)。
- 試験期間中において、燃料消費量は慣行比で26.2%の減少となり、燃料費にしておよそ13万円/10aの削減となる(表1)。
- 収量に関しては慣行と比較して同程度かそれ以上を確保できる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 温風ダクトは各列に吊り下げる必要があり、慣行より多くのダクトを必要とするが、それ以外に新たな設備・資材の導入は不要であり、低い初期投資で実施が可能である。
- 群落下部が低温で保たれるため、地温も同様に低下する恐れがある。暖房機の設定温度を低温にする場合には根域の保温対策が必要である。
- 本技術はつる下ろし誘引栽培などの、生長点近傍が一定の高さの範囲で保たれる誘引栽培に適用できる。
- 試験は愛知県武豊町の温室(面積972㎡、軒高3.6m、誘引高さ約2.9m)を2重カーテンで東西に区切り、暖房機の設定温度を13℃として一方を生長点近傍局所加温、もう一方を慣行加温として実施したものである。供試品種は「桃太郎ヨーク」および「ビットリオ」である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
施設園芸
省エネ・低コスト化
トマト
品種
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