タイトル |
Brassica rapaの高レベル自家不和合性を制御する遺伝子座 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
畠山勝徳
堀崎敦史
新倉 聡
吉秋 斎
柿崎智博
石田正彦
福岡浩之
松元 哲
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発行年度 |
2010 |
要約 |
純度の高いF1種子の生産を可能にする高レベル自家不和合性に関与する主要なQTLは、Brassica rapa連鎖地図の2つの連鎖群に検出され、最も作用力の大きなQTLは連鎖群R07に位置する。
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キーワード |
Brassica rapa、高レベル自家不和合性、QTL、F1種子
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背景・ねらい |
アブラナ科野菜のF1種子生産に利用される自家不和合性は、個体老化などの内定要因や高温などの外的な要因により不安定になるために、自殖種子が混入することによるF1純度の低下が問題となる。高純度なF1種子生産を可能にするF1親系統を効率的に育種するために、Brassica rapaにおける安定して自己花粉を拒絶する高レベル自家不和合性に関与する遺伝子座を明らかにし、選抜DNAマーカーを開発する。
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成果の内容・特徴 |
- ミツバチを用いた放任受粉を網室内で行うと、高レベル自家不和合性を示すカブ自殖系統Ka1-22(S遺伝子型:S53S53)と低レベル自家不和合性ハクサイ自殖系統Ha1-400(SASA)の結実莢率(結実莢数/全開花数x100)がそれぞれ1.8~1.9%、54.4~63.3%となる(図1)。結実莢率が低いほど高レベル自家不和合性であることを示す。
- 高レベル自家不和合性QTLは、Brassica rapa連鎖地図の5つの連鎖群に検出され、そのうちR03とR07のQTLは2カ年の自家不和合性程度の評価試験のいずれにおいても検出される(図2)。
- 最も作用力が大きなR07のQTL(LOD7.4-9.4)は、同じ連鎖群に座乗するS遺伝子座とは異なる領域に位置する(図2、図3)。
- R07のQTLはKa1-22のアリルが、R03のQTLはHa1-400のアリルが高レベル自家不和合性に寄与している。これらのアリルを両方ともに有すると推定されるF2個体群では、片方のアリルだけを持つか、あるいはどちらのアリルも持たない個体群に比べて、低い結実莢率を示す(表1のグループ2、3、8、9)。
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成果の活用面・留意点 |
- 主要なQTLの情報は、高レベル自家不和合性を有するBrassica rapa(ハクサイ、カブ、ツケナ等)の選抜DNAマーカー開発に活用できる。
- 実用レベルの自家不和合性は、結実莢率が20%以下であることが望ましい。
- ミツバチを用いた放任受粉による自家不和合性程度の評価方法の詳細は、Horisaki et al. (TAG, 107:1009-1013)に記載されている。
- ハクサイ連鎖地図および座乗するマーカーに関する情報は、野菜DNAデータベース(VegMarks, http://vegmarks.nivot.affrc.go.jp/VegMarks/jsp/index.jsp)で公開している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
あぶらな
育種
かぶ
受粉
データベース
DNAマーカー
はくさい
ミツバチ
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