稲発酵粗飼料の肥育全期間給与により牛肉の脂質酸化が抑制される

タイトル 稲発酵粗飼料の肥育全期間給与により牛肉の脂質酸化が抑制される
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 山田知哉
樋口幹人
河上眞一
発行年度 2010
要約 食品副産物並びに稲発酵粗飼料を用いた発酵TMRを黒毛和種去勢牛に肥育の全期間給与しても、枝肉成績は慣行区と遜色ないものが得られる。また飼料イネ区の胸最長筋のα-トコフェロール含量は上昇し、牛肉脂質の酸化が抑制される。
キーワード 稲発酵粗飼料、発酵TMR、α-トコフェロール
背景・ねらい 飼料自給率の向上に向けて国産飼料の利用を推進するためには、食品副産物や稲発酵粗飼料(イネWCS)等の肉用牛への給与割合を高め、さらに牛肉の高付加価値化を図る必要がある。イネWCSには抗酸化能を有するα-トコフェロールが含まれており、イネWCSを有効活用することによって、国産牛肉に新たな付加価値を与えることが期待される。一方、食品副産物の利用に向けてTMRセンターなどで発酵TMRの技術開発が進んでいるが、黒毛和種牛に対する給与事例は少ない。そこで黒毛和種去勢牛へのイネWCSの肥育全期間給与が枝肉成績および牛肉の抗酸化能に及ぼす影響を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 供試牛として黒毛和種去勢肥育牛を用い、10ヶ月齢から30ヶ月齢までの肥育全期間にイネWCSを用いた発酵TMRを給与する。飼料イネ区(4頭)に給与した肥育前期用TMRは原物当りイネWCSを30%、食品副産物(発酵ビール粕及び発酵トウフ粕)40%、配合飼料30%、後期用TMRはイネWCSを20%、食品副産物(発酵ビール粕及び発酵トウフ粕)30%、配合飼料50%を含んでいる(表1)。発酵TMR調製に用いた飼料イネ品種は「はまさり」であり、黄熟期にサイレージ調製を行なったものである。慣行区(4頭)にはオーチャードグラス乾草と市販配合飼料を給与する。
  2. 飼料イネ区と慣行区を比較すると、枝肉重量、胸最長筋粗脂肪含量、BMSナンバー等の枝肉成績に差はない(表2)。発酵TMR採食量の平均値は、肥育前期用TMRが12.8kg/day、肥育後期用TMRが15.3kg/dayである。
  3. 黒毛和種去勢牛へのイネWCSの肥育全期間給与により、飼料イネ区の胸最長筋中のα-トコフェロール含量が慣行区より高くなる(図1)。
  4. 脂質酸化の指標であるTBARS値は、冷蔵保存7日及び13日目において飼料イネ区が慣行区より低くなり、牛肉の脂質酸化が抑制される(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. イネWCSを活用した牛肉の高付加価値化に利用できる。
  2. 飼料イネ刈取時期の遅れや予乾処理は、イネWCS中のα-トコフェロール含量を低下させる点に留意する必要がある。
図表1 234513-1.png
図表2 234513-2.png
図表3 234513-3.png
図表4 234513-4.png
カテゴリ 高付加価値 肉牛 品種

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