耕畜連携システムにおける稲発酵粗飼料に着目した窒素フロー

タイトル 耕畜連携システムにおける稲発酵粗飼料に着目した窒素フロー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2009~2010
研究担当者 小林良次
発行年度 2010
要約 栃木県那須地域における稲発酵粗飼料の生産・利用による耕畜連携事例では、窒素の余剰は533kg/ha、利用効率は0.27である。稲発酵粗飼料の生産拡大や余剰堆肥のシステム外搬出等により、余剰を約34%低減し、利用効率を0.36に上げられる。
キーワード 稲WCS、耕畜連携、窒素、資源循環
背景・ねらい 栃木県の那須地域では近年、稲発酵粗飼料(稲WCS)の栽培・利用が拡大し、地域的な窒素の動きは以前より大きくなったと考えられる。当地域内の那須塩原市は本州最大の酪農地帯であり、隣接する大田原市は県内一の水田地帯である。このような地域を対象として、稲WCSの生産・利用に着目した窒素循環の実態を解明することは、他地域でも参考にしうるモデルケースになると考えられる。そこで、那須地域の酪農家および稲作農家にアンケート調査を実施し、稲WCSの生産・利用による耕畜連携システムの窒素フローを算定する。さらに、窒素の余剰や利用効率の改善策を立案し、その効果を試算する。
成果の内容・特徴
  1. 対象システムは稲WCSの栽培農家31戸、稲WCSを利用する酪農家11戸(うち1戸はWCS栽培と酪農の複合)から構成され(2009年調査時)、窒素フローは図1のとおりである。水田の1戸当たり栽培実面積は7.7ha、うち稲WCSは1.7haであり、稲WCSの原物収量は2152kg/10aである。経産牛と育成・初妊娠牛の1戸当たり飼養頭数はそれぞれ88頭と51頭、乳量は8853kg/頭・年である。
  2. 当該システムでは窒素の搬入が約262t、搬出が約70tである。下記により計算する余剰と利用効率はそれぞれ533kg/haと0.27である(表1、現状)。余剰には大気中への揮散や土壌の下層への浸透等による損失、土壌や家畜への蓄積が含まれる。
    • 窒素余剰(kg/ha)=(搬入量-搬出量)/圃場面積
    • 窒素利用効率=搬出量/搬入量
  3. 全ての牛の実用的給与量(生産現場での給与を想定した量、表1の注参照)を満たすまで稲WCSの栽培面積を拡大すると(表1(1))、窒素余剰は418kg/haに減少すると推定される。
  4. 栽培農家水田へ施用する酪農家堆肥を増やし、その代わりに化学肥料を減らす場合(表1(2))、窒素利用効率は水田部門では下がり、飼料畑部門では上がるが、システム全体の利用効率は大きく変わらない。
  5. 窒素の余剰と利用効率をより大きく改善するには、上記3と4の組合せ(表1(3))に加え、化学肥料の使用により飼料畑への過剰な堆肥投入をやめ、さらに酪農家の余剰堆肥をシステム外(売却や野菜等の他作物栽培)へ搬出する(表1(4))。これらの対策により、システム全体の利用効率は0.27から0.36に向上し、余剰は533kg/haから354kg/haに削減できると推定される。
成果の活用面・留意点
  1. イネWCSによる耕畜連携を進める上での参考資料になる。
  2. アンケートの回答以外にも各種資料を用いた。主要なものは次の通り。コントラクター収穫量等データ、酪農協飼料販売データ、標準飼料成分表、堆肥成分値(山口ら2000)、畜産物生産費、稲発酵粗飼料生産・利用技術マニュアル、各種研修テキスト。
図表1 234519-1.png
図表2 234519-2.png
カテゴリ 肥料 コントラクター 水田 生産拡大 乳牛

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