実規模ロックウール生物脱臭装置におけるアンモニア除去微生物群集の特徴

タイトル 実規模ロックウール生物脱臭装置におけるアンモニア除去微生物群集の特徴
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 安田知子
和木美代子
黒田和孝
花島 大
福本泰之
鈴木一好
発行年度 2010
要約 ロックウール生物脱臭装置では、装置内の各部位でアンモニア酸化反応の基質親和性とアンモニア酸化細菌群集の構成が異なっている。その原因の一つとして装置へ流入するガスのアンモニア濃度が不均一であることが考えられる。
キーワード アンモニア、ロックウール生物脱臭装置、硝化、脱窒、微生物群集
背景・ねらい ロックウール生物脱臭装置は、装置の低コスト化など改良が必要な点が残されているものの、比較的維持管理が容易で、永続的にアンモニアの除去が可能であるため、家畜排泄物の堆肥化処理の現場で用いられている。しかし、アンモニア除去を実際に担っている微生物に関する情報は少ない。そこで、実規模装置でのアンモニア除去に関与する微生物群集の特徴を、同一装置の地点別の微生物活性および微生物群集解析により明らかにし、装置の最適化に向けた指針を得るための一助とする。
成果の内容・特徴
  1. 畜産草地研究所で1998年から実稼働しているロックウール脱臭装置(図1)において、2回の切り返しを含む32日間(うち測定10回)、流入・流出ガスを採取し、アンモニア、一酸化二窒素、メタンの濃度をそれぞれ検知管、GC-ECD、GC-FIDを用いて測定した。堆肥は3週間に一度の切り返し時に第1槽から順に移動させているため、いずれのガスについても、測定地点毎に、流入ガス中濃度が堆肥化の進行に合わせた変動を示している(表1)。本装置では、一酸化二窒素、メタンの発生を増加させることなくアンモニアの除去が可能である(表1)。
  2. 切り返し後のアンモニアの発生がおさまった時点で、脱臭担体を地点a、b、cのそれぞれ表層50cm、140cmの深さより採取し、硝化活性と脱窒活性を測定した。硝化活性は地点bの140cmの深さで高く、脱窒活性はいずれの地点でも硝酸態窒素の蓄積している140cmの深さで高い(表2)。また、アンモニア酸化反応の基質親和性(Km)と最大アンモニア酸化速度(Vmax)をアンモニウム塩の添加量を変えて調べた。基質親和性は地点aで高く(Km値が低く)、Vmaxは地点bの140cmで高い(表2)。
  3. アンモニア酸化古細菌(AOA)とアンモニア酸化細菌(AOB)群集を、それぞれのアンモニア酸化反応の酵素遺伝子であるamoAに特異的なプライマーを用いたPCR-DGGE法により解析した。DGGEのプロファイルは、AOAでは部位が異なっても比較的類似しているが、AOBでは部位間でプロファイルが異なり、バンドの対応分析によると、AOB群集は、アンモニア酸化活性の高い場所(b-140cm)で、特異的な構造をしている(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 堆肥化の進行の影響を受け脱臭装置に流入するガス濃度は変化するが、流入ガスの均一化により装置の性能向上が期待できるなど、装置の最適化に向けた基礎資料となる。
  2. 畜産草地研究所では牛、豚、鶏、その他のふんや余剰汚泥等を混合処理しているが、他の堆肥化施設に付設の脱臭装置および他の担体を充填している脱臭装置については別途調査する必要がある。
図表1 234532-1.png
図表2 234532-2.png
図表3 234532-3.png
図表4 234532-4.png
カテゴリ 低コスト

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