豚ぷん堆肥化過程から発生する窒素性環境負荷ガスの抑制

タイトル 豚ぷん堆肥化過程から発生する窒素性環境負荷ガスの抑制
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2007~2010
研究担当者 福本泰之
鈴木一好
黒田和孝
和木美代子
安田知子
発行年度 2010
要約 豚ぷん堆肥化過程におけるMAP結晶化法と亜硝酸酸化促進法の併用は、NH3、N2O、NOの発生を抑制し、窒素損失量を約6割減少させる。亜硝酸酸化促進法はpH低下によって緩効性肥料成分のMAP結晶を再溶解させ、即効性の硝酸態窒素に変換する。
キーワード MAP結晶化法、亜硝酸酸化促進法、窒素性環境負荷ガス(NH3/N2O/NO)
背景・ねらい 豚ぷん堆肥化過程から発生するアンモニア(NH3)や一酸化二窒素(N2O)などの窒素性環境負荷ガスは、完成堆肥の肥効性を減退させるとともに、悪臭問題や地球温暖化等の環境問題を引き起こすため抑制技術の開発が重要な課題となっている。しかし、これら窒素性ガス物質は発生時期や生成メカニズムがそれぞれ異なるため、単一技術で全てを抑制することは難しい。そこで、NH3を抑制するMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)結晶化法と、N2Oを抑制する亜硝酸酸化促進法を併用した場合の、窒素性環境負荷ガスに対する発生抑制効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. MAP結晶化法(MAP法)では豚ぷん1kgあたり0.045molの塩化マグネシウムと0.03molのリン酸を開始時に添加、亜硝酸酸化促進法(NOB法)では亜硝酸酸化細菌源である完熟豚ぷん堆肥を堆肥化の高温発酵後に添加(2-4% 湿重量比)し、小/中規模堆肥化試験で併用効果を検証したところ、発生するNH3の29-43%、N2Oの52-80%、一酸化窒素(NO)の96-99%が低減された。MAP法とNOB法の併用は、複数の窒素性環境負荷ガスに対して顕著な発生抑制効果を発揮する(表1)。
  2. MAP法とNOB法の併用により窒素損失量を約6割削減できる。また、MAP法のみでも窒素損失量を5割程度削減できる(図1)。
  3. MAP+NOB処理区では完熟堆肥添加以降にMAP態窒素含有量*が急激に減少する。NOB法では堆肥中に硝酸態窒素が多く蓄積するため酸性環境になりやすく、そのため薬剤添加によって一旦形成したMAP結晶が再溶解する。MAP法をNOB法と併用する場合は、MAP結晶の持つ緩効性肥料としての特性は期待できないが、即効性窒素肥料成分である硝酸態窒素の含有量は増大する(図2)。

*棚橋ら(2010)土肥誌, 81(4): 329-335
成果の活用面・留意点
  1. 本技術は、豚ぷん堆肥化処理からの悪臭・温室効果ガス発生抑制に対して有効であり、完成堆肥の窒素濃度が高まることによって肥効性の向上も期待できる。
  2. MAP結晶化法における薬剤添加量は、平成18年度畜産草地研究成果情報である「MAP形成による家畜ふんの堆肥化からのアンモニア発生低減」が参考となる。
  3. 大規模堆肥化試験、または現地実証試験による効果の検証が必要である。
図表1 234533-1.png
図表2 234533-2.png
図表3 234533-3.png
カテゴリ 肥料 薬剤

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