血糖値の非侵襲測定技術の開発とその食品分野への応用

タイトル 血糖値の非侵襲測定技術の開発とその食品分野への応用
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 河野澄夫
池羽田晶文
上平安紘
足立憲彦
発行年度 2010
要約 短波長の近赤外光を手の平の小指側に照射し、組織内で拡散反射した光を測定することにより得られるスペクトルから血糖値を非侵襲的に測定し、食品のグリセミック・インデックス(GI)を得る。
キーワード 血糖値、グリセミック・インデックス(GI)、非侵襲測定、専用装置
背景・ねらい 生活習慣病の予防・治療の観点から食生活の改善に関心が寄せられ、食後の血糖値の上昇性を示すグリセミック・インデックス(GI)が注目されている。糖尿病患者及び糖尿病予備軍とよばれる人々にとって、食品のGIは良好な健康管理を行う上で重要な指標である。しかし、食品のGIを測定するには、指先から少量ではあるが数十回もの採血が必要で、被験者に大きな苦痛を与える。そのため、GIは未だ食品産業分野で広く採用されるには至っていない。そこで、近赤外スペクトルの測定により、非侵襲で血糖値を測定する方法を開発し、食品のGI測定に応用する。
成果の内容・特徴
  1. ヒトの近赤外スペクトル測定に適した部位として、腕、手首、手の平を選択し、血液を採取して測定した血糖値と近赤外スペクトルから得られた血糖値を比較すると、手の平(小指側)での測定値が最も良く一致する。
  2. スペクトル測定部位(手の平)の温度、及びスペクトル測定プローブと測定部位との接触圧力を一定にすることが測定精度を高くする上で重要である。
  3. 上述した条件を踏まえて設計・試作した血糖値測定専用の分光装置を図1に示す。スペクトル測定部には、光誘導パイプを中心にして半径8.5mmの円周上に小型タングステンハロゲンランプ5個が配置されている(図2)。
  4. この血糖値測定専用分光装置のスペクトル部に手の平を置き、手の平の温度、接触圧を一定にして、スペクトル測定開始ボタンを押すだけで、採血することなく(非侵襲で)ヒト血糖値を高精度に測定することができる。測定精度は誤差の標準偏差で9.1mg/dLである(図3)。
  5. 本技術の食品分野への応用として、食品のGIの測定を試み、基準食および検査食の血糖上昇曲線下面積とGIを表1に示す。3種類の検査食(米飯、かまぼこ、ヨーグルト)の本法で算出したGIは、いずれも血液を採取して得られた血糖値に基づく値とほぼ同じである。
成果の活用面・留意点
  1. 血糖値測定専用の分光装置は、電源スイッチを入れるだけで使用可能であり、スペクトル測定において専門の技術者を必要としない。
  2. 今回の実験では被験者が一人で、開発した血糖値測定用の検量モデルは被験者専用であり、汎用性に欠ける。従って、この技術を活用する場合は対象とする被験者専用の検量モデルを予め作成する必要がある。
  3. 不特定多数の者に適応可能な汎用検量モデルの開発には多くの被験者が必要であり、医療機関との共同開発が不可欠である。
図表1 234615-1.png
図表2 234615-2.png
図表3 234615-3.png
図表4 234615-4.png
カテゴリ 測定技術

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる