連続フィード培養によるリグノセルロース糖化酵素の効率的生産システム

タイトル 連続フィード培養によるリグノセルロース糖化酵素の効率的生産システム
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2010
研究担当者 池 正和
徳安 健
発行年度 2010
要約 誘発した突然変異株を用いて、可溶性糖質を連続的に添加しながらリグノセルロース糖化酵素の生産を行う技術(連続フィード培養)は、安価な原料からの酵素生産を安定的に行うことができ、酵素生産コストの低減が期待される。
キーワード リグノセルロース、糖化酵素(セルラーゼ)生産、バイオエタノール
背景・ねらい 稲わらなどの原料を用いて100円/L以下の低コストでバイオエタノールを製造するためには、リグノセルロース糖化酵素の生産コストを大幅に低減し、また、多様な原料や前処理法に適した糖化酵素カクテルを生産・供給していくことが必要である。そこで、エタノール変換プロセスに応じて生産酵素組成を調節可能な、効率的糖化酵素システムを開発する。
成果の内容・特徴
  1. セルラーゼ高生産株Trichoderma reesei ATCC66589を親株とし、紫外線照射により誘発した変異株M2-1および変異株M3-1は、グルコースを唯一の炭素源とする培地でもセルラーゼを生産する(表1)。
  2. M2-1およびM3-1を用い、セルロースを原料としてセルラーゼの大量生産を行った場合、原料あたりのセルラーゼ生産効率はそれぞれ257および281 濾紙分解ユニット(FPU)/g-炭素源であり、親株(237FPU/g-炭素源)と比較して、約1~2割高い。
  3. 可溶性糖質であるグルコースとセロビオースの混合液を連続的に添加(混合比6:1、添加速度約45g/日)しながら、M2-1を培養した場合、主要酵素活性は直線的に増加し、原料あたりのセルラーゼ生産効率およびセルラーゼ生産速度はそれぞれ210FPU/g-炭素源および130FPU/L/hrとなる(図1)。
  4. グルコース、セロビオースの2種混合液(混合比6:1)およびグルコース、キシロース、セロビオースの3種混合液(混合比3:3:1)を用い、添加速度約45g/日でM3-1を培養した場合の生産酵素活性を比較すると、セルロース分解酵素活性はほぼ同等であるのに対し、ヘミセルロース分解活性は3種混合液を用いた場合が2倍以上高い(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 突然変異株M2-1およびM3-1を用いることで、通常株ではセルラーゼ生産を抑制するグルコース培地において糖化酵素の誘導が可能となる。また、これらの突然変異株を、可溶性炭素源を連続的に添加しながら培養することで、安定的かつ効率的な糖化酵素生産が可能となる。
  2. 添加する可溶性炭素源の種類や混合比を変化させることで、生産される酵素群の組成を調節できる。ただし、生産される各酵素タンパク質の比率などをより厳密に調節するためには、添加液組成の他に、添加のタイミングや添加速度などの条件を検討し、厳密にコントロールする必要がある。
図表1 234629-1.png
図表2 234629-2.png
図表3 234629-3.png
カテゴリ コスト 低コスト

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