黒ボク土の土壌バイオマスリンはインゲンマメのリン吸収量の指標の一つとなる

タイトル 黒ボク土の土壌バイオマスリンはインゲンマメのリン吸収量の指標の一つとなる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2004~2010
研究担当者 杉戸智子
信濃卓郎
吉田光二
建部雅子
豊田剛己
発行年度 2010
要約 収穫時のインゲンマメ地上部リン吸収量と土壌バイオマスリン量との間に有意な正の相関があったことから、黒ボク土でインゲンマメを栽培する場合に土壌バイオマスリン量はリン吸収量の指標の一つとなる。
キーワード 土壌バイオマスリン、黒ボク土、インゲンマメ、リン吸収量
背景・ねらい 北海道においてはリン酸固定能の高い黒ボク土が多くの畑作地帯を占めているが、これまでの知見から作物が吸収できる土壌中のリン(有効態リン)量を常法であるトルオーグ法で評価しても、必ずしも作物の必要量を正確に評価出来ないことが知られる。そこで、土壌微生物菌体中に含まれているリン(土壌バイオマスリン)量が作物のリン吸収量の指標になりうるかを検討するため、リンの要求量が高いマメ科作物のうち、北海道でダイズ、アズキに次いで収穫量の多いインゲンマメのリン吸収量との関係を解析する。
成果の内容・特徴
  1. 施肥・有機物施用処理毎の土壌バイオマスリン量の平均値は乾土1kg当たり22.2~34.0mgPで、下水汚泥施用区でやや高いものの、施肥や有機物施用の違いによる有意な差はなかった(図1)。また、土壌バイオマスリン量の経年的も増加もみられなかった。
  2. 試験期間中のインゲンマメの子実収量は1haあたり1.37~3.04トン、収穫時の地上部リン吸収量は1haあたり7.2~13.1kgPであった。収穫時のインゲンマメ地上部リン吸収量および子実収量は栽培年次の気象条件などの影響を受けることから、それぞれ年次毎に標準化した値を用いて解析すると、両者の間に1%水準で有意な正の相関がある(図2)。
  3. 各年次の地上部リン吸収量を年次毎に標準化した値を用いて土壌バイオマスリン量との相関を解析すると、両者の間に1%水準で有意な正の相関がある(図3)が、トルオーグリン量との間に有意な相関はみられない(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 黒ボク土での適正施肥管理において基礎的データとして活用する。
  2. 土壌バイオマスリン量はクロロホルムくん蒸抽出法の土:抽出液比を1:40とした改良法(杉戸・吉田(2006)土と微生物、60:11-15)で測定した。
  3. 北海道農研の下層台地多湿黒ボク土の圃場でインゲンマメ「大正金時」を栽培した場合の成果であり、リン吸収量を評価する指標として広く用いるためには他地域の黒ボク土および他作物を栽培した場合の検証が必要である。
図表1 234681-1.png
図表2 234681-2.png
図表3 234681-3.png
図表4 234681-4.png
図表5 234681-5.png
カテゴリ 肥料 あずき いんげんまめ 施肥 大豆

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる