タイトル |
寒冷地での短日処理による一季成り性イチゴ秋どり栽培における適品種 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2008~2010 |
研究担当者 |
山崎浩道
濱野 恵
矢野孝喜
本城正憲
森下昌三
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発行年度 |
2010 |
要約 |
寒冷地での短日処理による一季成り性品種を用いたイチゴ秋どり栽培では、「紅ほっぺ」が栽培年次や栽培方式(土耕、高設栽培)にかかわらず安定して多収であり、大果であることから適品種である。
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キーワード |
イチゴ、一季成り性品種、秋どり栽培、短日処理、「紅ほっぺ」
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背景・ねらい |
我が国のイチゴ生産では、夏秋期(7~10月)が端境期となっており、夏秋イチゴの増産が強く求められている。一方、寒冷地では、一季成り性品種を用いて、夜間冷房を行わずに短日処理のみでイチゴを花芽分化させ、秋期(9~11月)に収穫することが可能である。しかし、この秋どり栽培における適品種は明確に示されていない。そこで、本栽培について、多収、大果等の形質を示す適品種を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 一季成り性イチゴ品種の秋どり高設栽培における収量は、年次によって異なるが、品種による収量の多少はほぼ同じ傾向であり、「女峰」、「紅ほっぺ」、「もういっこ」、「雷峰」で収量が多く、「さちのか」、「さがほのか」で少ない(図1)。
- 品種別収量の差は主に収穫果数の差に起因するが、平均一果重にも品種間差があり、「紅ほっぺ」、「もういっこ」で一果重が大きく、「女峰」、「さちのか」で小さい(図2)。
- 「紅ほっぺ」、「もういっこ」では、頂花房出蕾後、多くの株で早期に次花房が出蕾し、秋期の出蕾花房数が株当たり1.7~1.9本となること(図3)が多収の一因である。
- 秋どり栽培における収量の品種間差には、栽培方式(土耕、高設栽培)に関わらずほぼ一定の傾向があり、「紅ほっぺ」は安定して多収である(図4)。
- 以上から、本栽培で安定して多収、大果となる適品種は「紅ほっぺ」である。なお、「もういっこ」も高設栽培で多収、大果であり、高設栽培に適する。
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成果の活用面・留意点 |
- 秋どり栽培は、5月中下旬に採苗、6月下旬から7月下旬に短日処理(8時間日長、約30日間)、花芽分化確認後7月下旬に定植、9月下旬に収穫開始、10~11月に収穫盛期の作型である。本栽培は、7月平均気温22℃以下で、かつ9月平均気温19℃以下の寒冷地に適用できる。
- 「紅ほっぺ」は、高温期に軟果となりやすいが、本栽培では果実品質に問題はみられない。また、本品種は芯止まり株が発生しやすく、育苗期の肥料切れによりその発生が助長される。このため、育苗期に肥料切れとならないよう管理する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
いちご
栽培技術
品種
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