イチゴ四季成り性品種「なつあかり」の年内どりを可能にする定植前長日処理

タイトル イチゴ四季成り性品種「なつあかり」の年内どりを可能にする定植前長日処理
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2008~2010
研究担当者 濱野 恵
山崎浩道
矢野孝喜
本城正憲
森下昌三
発行年度 2010
要約 「なつあかり」の夏植え栽培における定植前長日処理は、採苗時期に関わらず花芽分化を促進して秋の出蕾株率と年内収量を高める。長日処理としては白熱灯による24時間日長が最も効果が高く、間欠光処理は効果が低い。
キーワード イチゴ、四季成り性品種、なつあかり、定植前長日処理、白熱灯、電照
背景・ねらい 我が国のイチゴの価格は夏秋期に高く、とりわけ9~10月に上昇するため、良食味の四季成り性品種「なつあかり」などをその時期に収穫することが求められている。品質のよい果実を得るには、高温時の着果負担を避け、夏に定植することが望ましい。しかし、「なつあかり」の当年苗は高温時には自然条件下における花芽分化が困難であり、出蕾が年内収穫に間に合わない場合がある。一方、四季成り性イチゴの花成に関しては、長日条件が花芽分化を促進することが知られており、「なつあかり」の出蕾促進に利用できる可能性がある。そこで、夏植え栽培における定植前長日処理の効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 前年および当年の5月末から7月上旬採苗の「なつあかり」定植前苗に、終夜電照して1か月間長日処理を行うと、いずれの採苗時期でも秋の出蕾株率および年内収量が増加する(図1)。
  2. 24時間日長および夜間に4時間電照する光中断処理(光中断4時間)では処理期間2週間で100%の株が9月末に出蕾するが、16時間日長では1か月必要である。また、処理期間1週間でも、24時間日長はほとんどの株が出蕾する(表1)。
  3. 長日処理の明期時間については、24時間日長が出蕾株率・出蕾花房数からみた処理効果が最も高い(図2、表1)。
  4. 夜間の電照方法は、白熱灯による連続光処理に比べ、間欠光処理(1時間につき15分)では出蕾株率が低く推移し、白熱灯と同数の市販の電照用赤色LED(625nm、神農流通)連続光処理には花芽分化促進効果が認められない(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 採苗は7月上旬までに行う。24時間日長もしくは夜間中断4時間であれば処理は2週間程度、16時間日長では1か月程度、高温年には分化が抑制される恐れがあるため、期間を長くし、検鏡により花芽分化を確認する。
  2. 長日処理を白熱灯で行った場合の結果である。今後白熱灯は製造中止などにより使用制限されるため、代替光源が利用される可能性があるが、効果は別途確認する必要がある。
図表1 234704-1.png
図表2 234704-2.png
図表3 234704-3.png
図表4 234704-4.png
カテゴリ いちご 栽培技術 品種 良食味

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