オキシトシン負荷試験を利用した黒毛和種雌牛の受胎性評価

タイトル オキシトシン負荷試験を利用した黒毛和種雌牛の受胎性評価
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 伊賀浩輔
竹之内直樹
平尾雄二
志水 学
発行年度 2010
要約 発情後17~19日にオキシトシン負荷試験を実施し、負荷後0~90分までの血中プロスタグランジン代謝産物の推移を調べることにより、次の発情予定日までに黒毛和種雌牛の受胎性評価および受胎性の高い個体の選抜が可能である。
キーワード オキシトシン負荷、プロスタグランジン代謝産物、受胎性評価、黒毛和種
背景・ねらい 現在、ウシの受胎率は漸減傾向にあり改善の兆しは見えていない。繁殖制御技術において卵巣機能制御法はほぼ確立されているが、子宮機能制御・評価法は確立されていない。今後、子宮機能の制御・評価技術の確立および卵巣機能制御技術と併用することにより、受胎率向上が期待され、優良牛の増産に寄与すると考える。
下垂体後葉および黄体から分泌されるオキシトシン(OT)は、ウシ卵巣および子宮機能調節因子であり、また、OTの作用によるプロスタグランジン産生の差が子宮内膜の生理的機能評価の一つの指標となる可能性を報告している(平成17年度東北農業研究成果情報)。そこで本研究では、ウシ子宮に対するOTの生理的作用に着目し、その作用機序を利用した受胎性評価技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. OT負荷試験後の初回発情に人工授精を実施した供試牛(n=35)の受胎率は57.1%であり、OT負荷後の受胎群(n=20)における血中プロスタグランジン代謝産物(PGFM)の産生割合は、不受胎群(n=15)と比較して有意(P<0.01)に高い推移を示す(図1)。
  2. 供試牛の妊娠診断結果を基にSAS/STATで判別分析を行った結果、図2に示す受胎性評価の判断基準となる線形判別関数が得られ、Y値により受胎性の評価・分類ができる。
  3. 表1に示す通り、判別分析により受胎性の高いおよび低い群に分類された結果、妊娠診断結果と一致する頭数は、それぞれ11および13頭となり、受胎および不受胎判定率は、それぞれ84.6および59.1%、受胎性評価の精度は全体で68.6%となる(表2)。
  4. 図3に示すとおり、受胎性評価まで2日間を要し、次の発情予定日までに黒毛和種雌牛の受胎性評価・選抜が可能となる。
  5. 異なる牛群(n=9)を評価した結果、受胎性が高いおよび低い群に分類した頭数は、それぞれ2および7頭であり、その後の妊娠診断結果と一致した頭数は、それぞれ1(受胎判定率:50.0%)および5頭(不受胎判定率:71.4%)、受胎性評価の精度は全体で66.7%となる。
成果の活用面・留意点
  1. 超優良牛生産(高額な牛胚の利用等)における受胚牛の評価・選抜に利用。
  2. 本研究は経産黒毛和種の結果であるため、未経産および他品種は検討が必要である。
  3. より正確な受胎性評価には、他の繁殖に関する臨床検査法との併用が望ましい。
図表1 234711-1.png
図表2 234711-2.png
図表3 234711-3.png
図表4 234711-4.png
カテゴリ 受胎率向上 繁殖性改善 評価法 品種

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