タイトル |
高温年における「ヒノヒカリ」の好適出穂期は従来よりも4日程度遅い |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2010~2010 |
研究担当者 |
北川 寿
岩渕哲也
牧山繁生
市原泰博
坂梨二郎
清水康弘
藪押睦幸
山根一城
森田 敏
和田博史
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発行年度 |
2010 |
要約 |
近年の高温条件下では、暖地水稲「ヒノヒカリ」の収量および品質に対する好適出穂期は、従来の移植適期である6月中旬田植えした時の出穂期よりも4日程度遅い8月27~28日となる。
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キーワード |
暖地水稲、ヒノヒカリ、温暖化、作期、出穂期、収量品質
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背景・ねらい |
暖地では近年、温暖化の影響による水稲の品質および収量の低下が著しい。このため九州各地域では遅植えが推奨されているが、適した作期については具体的には示されていない。そこで、九州各県の「ヒノヒカリ」の作期試験データを用いて、稲作期間の気温と出穂期、収量および品質との関連を検討し、近年の高温条件における好適出穂期を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 九州各県の作期試験を稲作期間の気温により「低温」「平温」「高温」の3つに分けると、地域よりも年次による変動が大きい。90年代は「低温」年もあったが、2000年以降は全て「平温」年か「高温」年に分類される(表1)。
- 従来の適期移植試験(6月中旬田植え区)について比較すると、「低温」年では、「平温」年や「高温」年より出穂期が遅く、収量はやや低いが、玄米品質は優れる。「平温」年や「高温」年では出穂は共に早まり、品質は劣る。品質の低下程度は「高温」年ほど顕著である(表2)。
- 各温度区分ごとに、従来の適期移植区の品質や収量を基準にして他の区の値を相対評価し、出穂期との関係で整理すると、図1のようになる。出穂期と品質、収量との関係は3次曲線にあてはめることができ、それぞれの最高値を示す好適出穂期が存在する。「低温」年と「高温」年における好適出穂期は、品質についてはそれぞれ、8月26日と28日となる。 従来の適期移植した場合の「高温」年の平均出穂期は8月23日である(表2)ことから、「高温」年では遅植えによる品質向上が期待できる。
- 収量の好適出穂期は、「低温」年では8月16日と大幅に早まる。これに対し「高温」年では遅れて、品質の好適出穂期にも近い8月27日となる。
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成果の活用面・留意点 |
- 暖地水稲の気温と好適出穂期の関係を示すデータであり、温暖化に対応した作期設定の基礎資料となる。なお、「高温」年で好適出穂期に合わせるには、従来の移植適期(6月中旬)より10日程度遅植えにする必要がある。
- この成果は1989~2009年に九州各県で行われた作期試験(台風被害年を除く)と各地の気象データを基に解析したものである。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
水稲
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