ウリ類退緑黄化ウイルスのゲノム構造解析と近縁ウイルスとの類縁性

タイトル ウリ類退緑黄化ウイルスのゲノム構造解析と近縁ウイルスとの類縁性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 奥田 充
岡崎真一郎
山崎修一
杉山充啓
発行年度 2010
要約 ウリ類退緑黄化ウイルスのゲノムは2分節RNAであり、全長8,607塩基のRNA1と全長8,041塩基のRNA2からなる。本ウイルスは、Bean yellow disorder virusLettuce chlorosis virusおよびCucurbit yellow stunt disorder virusに近縁である。
キーワード ウリ類退緑黄化ウイルス、ゲノム、系統樹
背景・ねらい ウリ類退緑黄化ウイルス(CCYV)は、タバココナジラミにより媒介され、メロン、キュウリおよびスイカの葉に激しい黄化を引き起こす重要病害である。本ウイルスは、2004年頃初めて発生が確認された世界でも報告例のないクリニウイルスに属する新種ウイルスであるため、ウイルスゲノムを解読し、近縁ウイルスとの類縁関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. CCYVのゲノムは2分節1本鎖RNAであり、全長8,607塩基のRNA1と全長8,041塩基のRNA2からなる。
  2. RNA1は4つの遺伝子をコードする(図1)。ORF1aの終始コドン(UAG)の上流に2つのウラシル塩基があり、他のクリニウイルスと同様にORF1bは+1フレームシフトにより転写されることが推定される。ORF2とORF3はそれぞれ約6kDaと約22kDaのタンパク質をコードするが、既知タンパク質や他のクリニウイルスとアミノ酸配列の相同性は認められず、機能は不明である。
  3. RNA2は8つの遺伝子をコードする(図1)。アミノ酸配列の相同性からORF2が70kDa熱ショックタンパク質と相同性を示すタンパク質(HSP70h)、ORF4が細胞間移行タンパク質(p59)、ORF6およびORF7が外被たんぱく質(CP)およびマイナー外被タンパク質(CPm)であることが推測される。ORF1、ORF3、ORF5およびORF8の機能は明らかになっていない。
  4. 他のクリニウイルスと同様にRNA1とRNA2の3'末端非翻訳領域の相同性が極めて高い(図2)。5'末端非翻訳領域は全く相同性が認められない。
  5. HSP70hおよびCPのアミノ酸配列の相同性に基づく系統樹によると、CCYVはBean yellow disorder virus(BnYDV)、Lettuce chlorosis virus(LCV)およびCucurbit yellow stunt disorder virus(CYSDV)に近縁である(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. CCYVのRNA1およびRNA2の全塩基配列は、それぞれアクセス番号AB523788およびAB523789によりDDBJから入手できる。
  2. 本配列情報をもとに遺伝子診断法や血清診断法の開発が可能である。
  3. BnYDV、LCVおよびCYSDVはいずれも日本での発生は確認されていない。
  4. 現在、日本以外では、台湾および中国でCCYVの発生が報告されている。
図表1 234809-1.png
図表2 234809-2.png
図表3 234809-3.png
カテゴリ きゅうり くり すいか タバココナジラミ メロン

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